生乳生産量は2年8カ月連続で前年同月を上回って推移
飼養頭数は過去最高を記録
米国農務省全国農業統計局（USDA／NASS）が2016年9月20日に公表した「Milk Production」によると、8月の乳用経産牛の飼養頭数は、936万頭（前年同月比0.5%増）と過去最高を記録した。この要因について業界誌では、生産者の経産牛の更新意欲が牛肉価格の低迷により減退したことを挙げており、7月の経産牛のと畜頭数は、前年同月比10.7%の減少となった。
2016年8月の生乳生産量は前年同月比1.9%増の804万4000トンとなり、2014年1月以降前年同月を上回って推移している（図14）。同月の1頭当たり平均乳量は、860キログラム（同1.4%増）とわずかに増加した。生産量を州別に見ると、最大の生乳生産州であるカリフォルニア州は、同1.7%減となった一方、生乳生産量第2位のウィスコンシン州は同2.4%増となった。また、テキサス州は、飼養頭数および1頭当たり平均乳量の増加により、同11.0%増とかなり大きく増加した。
USDAは2016年の生乳生産量の予測について、乳牛の飼養頭数が増加するとの見込みから、9625万2000トン（前年比1.7%増）へわずかに上方修正した。また、2017年については、飼料コスト安による飼料多給により、1頭当たり平均乳量が増加見込みであるとして、9802万1000トン（同1.8%増）と予測している。
乳価は21カ月ぶりに前年を上回る
USDA／NASSが9月29日に公表した「Agricultural Prices」によると、2016年8月の全米の平均乳価は、前年同月比2.4%高の100ポンド当たり17.10米ドル（1キログラム当たり38円：1米ドル＝102円）となり、2014年11月以来初めて前年を上回った（図15）。また、チェダーチーズ価格も同じく2014年11月以来初めて前年を上回り、同3.1%高の1ポンド当たり207.5セント（同467円）となった。今後の乳価についてUSDAは、第4四半期（10〜12月）は同17.25〜17.75米ドルと見込んでいる。
チーズの在庫量は過去最高
USDA／NASSが9月1日に公表した「Dairy Products」によると、2016年7月のチーズの生産量は46万1000トン（前年同月比1.4%増）、バターの生産量は前年同月比6.0%増の6万5000トンと、いずれも前年を上回った。
また、7月末時点のチーズの在庫量は、輸出量の減少などにより、57万9000トン（前年同月比9.8%増）と過去最高となった（図16）。これを受けてUSDAは8月23日、民間在庫から1100万ポンド（4989トン）のチーズを買い入れることを発表した。
（調査情報部 渡邊 陽介）