需給動向 国内

◆豚 肉◆

7月の食肉加工品生産量、前年同月をわずかに下回る



平成28年8月の豚肉需給を見ると、生産量は、7万1438トン(前年同月比11.8%増)と前年同月をかなり大きく上回った。輸入量も冷蔵品、冷凍品ともに前年同月を上回り、7万3881トン(同14.6%増)と前年同月をかなり大きく上回った。このうちテーブルミートとして消費されることの多い冷蔵品は、北米からの輸入量が増加し、2万9813トン(同12.7%増)と、また、主にハム・ソーセージなどの加工原料用として使用される冷凍品は、デンマークやスペインなどのEU産および米国産が増加したことにより4万4067トン(同15.8%増)となった。推定出回り量は14万1197トン(同6.2%増)となり、推定期末在庫は前月から4076トン積み増して、17万6312トン(同1.3%減)となった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

ハム、ソーセージの生産量は減少傾向で推移

ハムやソーセージ、ベーコンなどに代表される食肉加工品の原材料の中で最も多い食肉は豚肉である。このため、食肉加工品の生産動向は豚肉需給全般に影響を与える要素の一つとなる。

平成28年7月の食肉加工品の生産量は、4万7429トン(前年同月比1.6%減)と前年同月をわずかに下回った。このうち、ベーコン類が前年同月を上回った一方で、中元ギフトが前年より低調となったことや前年の生産量が順調に推移していたためハム、ソーセージは前年同月を下回った(図4)(日本食肉協議会調べ)。

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ハム、ソーセージについては、27年10月末に世界保健機構の外部組織である国際がん研究機関(以下「IARC」という)が食肉加工品の発がん性リスクに関する内容について発表したことから、消費者の食肉加工品離れが起こり、発表以降、生産量は2月と4月を除き前年同月を下回って推移している。

家計消費への影響は限定的か

ただし、総務省が公表した「家計調査報告」によると、IARCの発表以降の食肉加工品の購入数量は前年同月を下回る月があるものの、大きな減少にはつながっていない(図5)。これについては、食肉加工メーカーや小売店により、内容量の一時的な増加や小売店による特売の増加などの取り組みが行われたことから、消費量の減少幅が抑えられたとの声も多い。今後については、IARCの発表から一年が経過し、販売の回復が見込まれるという声も聞こえるため、末端消費も含めた食肉加工品の動向に注視していく必要がある。

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(畜産需給部 小林 智也)


				

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