8月の豚肉生産量は前年同月を10％上回る
飼養頭数は過去最高を更新
米国農務省全国農業統計局（USDA／NASS）が2016年9月30日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、9月1日時点の豚飼養頭数は、前年比2.4%増の7085万1000頭と過去最高を記録した（表2）。このうち、繁殖豚は601万6000頭（同0.5%増）、肥育豚は6483万5000頭（同2.6%増）と、それぞれ前年を上回った。肥育豚の頭数を重量カテゴリ別に見ると、すべてのカテゴリで前年を上回り、重量が重いカテゴリほど増加幅は大きい傾向となった。
2016年6〜8月の分娩母豚頭数は、前年同期比0.2%増にとどまった。供給増による肥育豚価格の下落が要因とみられている。なお、同期の1腹当たりの産子数は、前年同期比1.8%増の10.58頭と過去最高となった。
と畜頭数、前年をかなり大きく上回る
USDA／NASSが9月22日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2016年8月の豚と畜頭数は1038万8000頭（前年同月比11.1%増）とかなり大きく前年を上回った。同月の豚肉生産量は、と畜頭数の増加により、前年同月比10.3%増の97万5000トンとなった（図7）。
USDAは2016年の豚肉生産量について、肥育豚の飼養頭数が前年を上回って推移していることから、1129万1000トン（前年比1.6%増）と見込んでいる。
肥育豚価格は安値で推移
米国農務省経済調査局（USDA／ERS）によると、2016年9月の肥育豚価格（速報値）は、前年同月比14.8%安の100ポンド当たり44.0米ドル（1キログラム当たり99円：1米ドル＝102円）となった（図8）。同月の豚肉卸売価格（カットアウトバリュー（注）、速報値）は、前年同月比5.2%安の100ポンド当たり80.0米ドル（1キログラム当たり180円）となった。肥育豚価格と豚肉卸売価格のいずれも、供給量の増加により前年を下回る安値となった。
（注） 各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。
中国向け輸出が大幅に増加
USDA／ERSによると、2016年7月の豚肉輸出量は、前年同月比1.9%増の18万3000トンとなり、3カ月連続で前年を上回った（図9）。輸出先国・地域別に見ると、最大の輸出先であるメキシコは5万3000トン（前年同月比10.1%減）、日本は4万4000トン（同5.6%減）となった。一方、中国は2万1000トン（同54.2%増）、香港は6000トン（同223.2%増）と需要の増加を背景に大幅に増加した。
USDAは2016年の豚肉輸出量について、中国向けに多くを輸出するEU産の輸出価格が高値で推移していることから、中国を中心にアジア市場への米国産豚肉の輸出機会が増加するとしており、前年比3.7%増の235万5000トンと見込んでいる。
（調査情報部 渡邊 陽介）