需給動向 海外

◆カナダ◆

カナダの肉牛生産に回復の兆し


飼養頭数は前年をわずかに上回る

カナダ統計局(Statistics Canada)が8月18日に公表した牛の飼養動向調査によると、2016年7月1日現在の牛飼養頭数は、1320万5000頭(前年比1.3%増)と、前年をわずかに上回ったものの、過去最高を記録した2005年を21.8%下回る水準である(図4)。

牛飼養頭数は、2003年に国内で牛海綿状脳症(BSE)が発生し、各国でカナダ産牛肉および生体牛の輸入が停止されたことから一時的に増加したが、米国向け生体牛輸出が解禁された2005年以降は、飼料穀物価格の高騰なども相まって減少傾向で推移していた。



肉用後継牛は前年比4.5%増

今回発表された飼養頭数を種類別に見ると、去勢牛を除き前年を上回った。特に、肉用後継牛は64万2000頭(前年比4.5%増)、子牛は42万9800頭(同3.9%増)と、増加率が高く、今後の肉用牛頭数の増加が見込まれている(表1)。



しかし、米国の飼養頭数の増加に伴って北米全体の肉牛価格が下落していることから、カナダの肥育もと牛価格も6月時点では前年同月比34.8%安の100ポンド当たり212カナダドル(1キログラム当たり374円:1カナダドル=80円)と低調に推移していることは、生産者の増頭意欲を削ぐ要因の一つになっている(図5)。このことから、頭数の増加は緩やかに進展していくものと見られている。

なお、州別の飼養頭数は、乾燥した気候によりトウモロコシや大豆などの穀物生産状況が悪化しているオンタリオ州などを除き総じて増加し、特に草地の状態が良好なマニトバ州やブリティッシュコロンビア州などの西部で増加率が高くなった(表2)。





米国のカナダ産生体牛輸入頭数は前年をかなり下回る

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が8月19日に公表した「Livestock & Meat International Trade Data」によると、2016年の上半期に米国が輸入したカナダ産生体牛の頭数は、草地の回復に伴う米国内の牛群再構築の進展により増加した前年の反動から、前年同期を10.4%下回る43万3808頭となった(図6)。



(調査情報部 野田 圭介)


				

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