需給動向 海外

◆米 国◆

2016年の牛肉生産量は前年比5.3%増の見込み


7月の牛肉生産量は6カ月ぶりに前年同月比減少

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が8月25日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2016年7月のと畜頭数は、前年同月比0.7%減の247万5000頭となった。7月に入りトウモロコシ価格が下落したことにより、短縮していた肥育期間を延長する動きが出てきたものと思われる。また、1頭当たり平均枝肉重量は、同0.5%減の372キログラムとなった。牛肉生産量は、と畜頭数および平均枝肉重量の減少により、同1.1%減の91万8000トンとなり、6カ月ぶりに前年同月を下回った(図1)。

しかし、2016年の牛肉生産量についてUSDAは、と畜頭数および平均枝肉重量ともに増加するとの見込みから、前年比5.3%増の1132万3000トンと、前月に引き続き上方修正した。また、2017年については、同3.4%増の1170万3000トンとさらなる増加を見込んでいる。



フィードロット飼養頭数は前年を上回って推移

USDA/NASSが8月19日に公表した「Cattle on Feed」によると、8月1日時点のフィードロット飼養頭数は、前年比1.6%増の1016万5000頭と、7カ月連続で前年を上回って推移している(図2)。また、7月のフィードロット導入頭数は、牛群再構築が進展したことによる肥育もと牛の増加により、前年同月比1.6%増の157万2000頭となった。導入頭数を重量カテゴリー別に見ると、700~799ポンド(前年同月比10.1%増)および800ポンド以上(同0.8%増)のカテゴリーが前年を上回った。



今後も肥育牛価格は安値見込み

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が8月30日に公表した「Livestock Prices」によると、2016年8月の肥育牛価格は、前年同月比22.2%安の100ポンド当たり116米ドル(1キログラム当たり266円:1米ドル=104円)と前年同月を大幅に下回った(図3)。肥育牛価格は、頭数の増加を背景に2015年7月以降前年を下回って推移している。2016年の肥育牛価格についてUSDAは、今後も肥育牛頭数が前年を上回って推移することから、同124~127米ドル(同284~291円)と安値での推移を見込んでいる。

また、USDA/ERSが同日に公表した「Wholesale Prices」によると、2016年8月の牛肉卸売価格は、前年同月比17.3%安の同200米ドル(同459円)と、2014年以降で最安値となった。



(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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