需給動向 海外

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2016年7月の鶏肉生産量は増加、輸出量は減少


鶏肉生産量は前年同月比4.6%増

タイ農業・協同組合省によると、2016年7月の鶏肉生産量は、16万1206トン(前年同月比4.6%増)となった。(図24)。



業界関係者によると、昨年から続く供給過多は解消されつつあるが、年末に向けて生産量を増やす動きがあるとしている。

鶏肉卸売価格は、鶏肉生産量が増加したため、1キログラム当たり48.7バーツ(同0.6%安)となった(図25)。



鶏肉輸出量は前年同月比2.8%減

2016年7月の鶏肉輸出量(調製品等を含む。)は、5万9422トン(前年同月比2.8%減)となった(図26)。



同月の輸出量を品目別で見ると、冷凍鶏肉(カット品)は、バーツに対し円が強くなったため、日本への輸出量が増加し、1万6190トン(同17.4%増)となった(図27)。



冷凍加塩鶏肉は、5516トン(同8.1%増)となった(図28)。

EU向けは、6月に英国、オランダへの輸出量が軒並み減少した。これは、主軸通貨に対しバーツが安定しない点や、ポーランドなど東ヨーロッパ産鶏肉と競合したことなどによる。



鶏肉調製品は、3万7716トン(同10.8%減)となった(図29)。

日本向けは、好調だった前年からの反動で減少したが、ブロイラー輸出業者協会によると、日本からの需要は引き続き堅調であるとしている。また、ASEAN諸国などその他の国向けは、ブラジルなどが同地域に販売促進を行ったため、軒並み前年同月を下回ったとしている。



食肉処理手数料引き上げか、コスト上昇の影響を受ける業界は改正案に反対

7月13日付けの現地報道によると、食肉処理などに関する法律の改正が審議されており、家きん類業界や中小規模養鶏農家団体などが反対している。現行法では、食肉処理する際に政府が1羽当たり0.1バーツの手数料を徴収しているが、改正法案では、これを4バーツに引き上げる内容が盛り込まれている。

このため、業界の代表は、改正法案は、タイの鶏肉産業の発展を阻害するものであり、200万人の雇用に影響するとともに、世界市場における競争力の大きな障害になり、輸出に多大な影響がでると危惧している。また、中小規模養鶏農家の代表も、農家としても販売先のコスト上昇の影響を受けることになり、最終的には廃業せざるを得ないとしている。

(調査情報部 青沼 悠平)


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