需給動向 国内 |
7月の豚肉輸入量は前年同月比8.7%の減少 |
平成28年7月の豚肉需給を見ると、生産量は、6万7725トン(前年同月比5.3%減)と前年同月を10カ月ぶりに下回った。輸入量は冷蔵品、冷凍品ともに前年同月を下回り、6万6141トン(同8.7%減)と前年同月をかなりの程度下回った。推定出回り量は前年同月をやや下回る14万1877トン(同5.0%減)となり、推定期末在庫は前月から8042トン取り崩し、17万2236トン(同6.0%減)と、前年同月をかなりの程度下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
冷蔵品輸入量、14カ月ぶりに前年同月を下回る
輸入量のうち冷蔵品は、2万7734トン(前年同月比11.0%減)と、14カ月ぶりに前年同月を下回った(図3)。テーブルミートとして消費されることの多い冷蔵品は、米国とカナダで9割以上を占めており、これら2カ国の需給動向によって輸入量が左右されることが多い。今年は、米国において、生産量が豚流行性下痢(PED)の影響から回復して、増加基調となっていることから現地相場安が続いており、輸入業者にとって買い付けしやすい環境にあると思われる。既報(本誌9月号海外需給動向)のとおり、米国農務省は、今後の生産量について増加傾向で推移すると見込んでいるものの、例年、気候が冷涼となる秋口以降は、国内生産量も増加する傾向にあり、国産豚肉と競合関係にある冷蔵品輸入量に注視する必要がある。
冷凍品輸入量、デンマーク産が減少
主にハム・ソーセージなどの加工原料用として使用される冷凍品については、7月の輸入量は3万8406トン(前年同月比6.9%減)と前年同月をかなりの程度下回った。冷凍品は約6割をEUから輸入しているが、平成28年4月〜7月の累計を見ると、10万7169トン(前年同期比15.8%増)とかなり大きく増加してる。これを国別に見ると、子豚の生体輸出増加に伴う供給不足からデンマークが3万6009トン(同4.7%減)と減少している一方で、スペインが3万1655トン(同17.4%増)と大幅に増加している。さらに、オランダ、ドイツなども増加しており、デンマークの代替需要として今後も他のEU諸国からの輸入は増加傾向で推移するものと予想される(図4)。
(畜産需給部 小林 智也)