話 題 畜産の情報 2016年10月号

2015年農林業センサス結果の概要

農林水産省 大臣官房統計部 経営・構造統計課
センサス統計室 鹿野 龍巳


1 はじめに

2015年農林業センサスは、食料・農業・農村基本計画および森林・林業基本計画に基づく諸施策ならびに農林業に関する諸統計調査に必要な基礎資料を整備することを目的として実施した。

以下では、農林業活動を営む農家や会社などの活動主体の動向を把握した農林業経営体調査結果の中から、畜産を主体とする農業経営体の動向について、その概要を紹介する。

2 畜産を主体とする農業経営体の動向

(1) 農業経営体数

畜産の単一経営(注)ごとに農業経営体数を見ると、いずれの経営タイプにおいても5年前に比べて農業経営体数は減少し、減少率は養豚単一経営が▲23.1%と最も高く、次いで酪農単一経営(▲19.3%)、養鶏単一経営(▲13.3%)、肉用牛単一経営(▲9.6%)となっている(表1〜表4)。









また、農業経営体のうち法人経営数は、いずれの経営タイプにおいても5年前に比べて増加し、増加率は肉用牛単一経営が21.0%と最も高く、次いで酪農単一経営(9.1%)、養鶏単一経営(8.9%)、養豚単一経営(1.5%)となっている。

(注) 「単一経営」とは、主位部門の農産物販売金額が8割以上の経営であり、例えば「酪農単一経営」とは、農産物販売金額の8割以上を酪農による販売金額が占める経営をいう。

(2) 農業経営体当たりの畜産飼養(出荷)頭羽数の状況

農業経営体の1経営体当たりの畜産飼養(出荷)頭羽数を見ると、いずれの経営タイプにおいても5年前に比べて増加し、増加率は養豚単一経営が34.7%と最も高く、次いで養鶏単一経営(ブロイラー23.4%、採卵鶏12.7%)、酪農単一経営(12.1%)、肉用牛単一経営(9.2%)となっている(表5)。



(3) 農産物販売金額規模別に見た農業経営体数の状況

農産物販売金額規模別に農業経営体数を見ると、5年前に比べて酪農単一経営では3000万円以上層で、その他の肉用牛単一経営、養豚単一経営、養鶏単一経営では、肉用牛単一経営の1000〜3000万円未満を除き、おおむね1億円以上の層で増加している(図)。



(4) 雇用労働の状況

農業経営体の常雇い(農業経営のために7カ月以上の期間を定めて雇った人(期間を含めずに雇った人を含む。))を見ると、いずれの経営タイプにおいても5年前に比べて増加し、増加率は肉用牛単一経営が32.5%と最も高く、次いで養鶏単一経営(23.7%)、養豚単一経営(22.5%)、酪農単一経営(14.5%)となっている(表6)。

また、常雇いを年齢階層別に見ると、44歳以下の割合は酪農単一経営が68.1%と最も高く、次いで養豚単一経営(56.0%)、肉用牛単一経営(54.4%)、養鶏単一経営(43.2%)となっている。



3 おわりに

今回の調査結果からは、畜産の単一経営体において、家族経営体が減少する一方、法人経営や組織経営体の着実な進展、経営規模や雇用労働の拡大など、全体的な動向と同様の傾向が見られたところである。

また、今回ご紹介した雇用労働は農業経営体の労働力の一部であり、農業経営体の労働力には、家族経営体の世帯員労働や組織経営体の経営者・役員など(協業経営などの構成員労働を含む。)の労働もあるため、それらも含めた詳細な集計結果は、今後、随時刊行される報告書や当省ホームページにおいて掲載していくのでご参照ください。

なお、2015年農林業センサスを実施できなかった東京電力福島第1原子力発電所の事故による避難指示区域(平成26年4月1日時点の避難指示区域)内の福島県楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村及び飯舘村の全域ならびに南相馬市、川俣町および川内村の一部地域の結果(22年調査時点で5542農林業経営体が所在。)は27年値に含まれていないことにご留意ください。


				

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