需給動向 国内

◆牛 肉◆

米国産の冷蔵品輸入量、7カ月連続で前年同月比2桁増


平成28年6月の牛肉需給を見ると、生産量は2万5845トン(前年同月比4.9%減)と、15カ月連続で前年同月を下回った。品種別では、和牛が1万1157トン(同7.6%減)、乳用種が8315トン(同3.6%減)、交雑種が6014トン(同1.8%減)と全品種で減少した。

輸入量は前年同月をわずかに上回る3万9383トン(同0.6%増)となった。国別に見ると、最大のシェアを占める豪州産は、牛群再構築に伴う出荷頭数の減少により、冷蔵品が1万928トン(同4.9%減)、冷凍品が9638トン(同30.3%減)といずれも減少した一方で、次いで輸入量の多い米国産は、冷蔵品が9391トン(同89.0%増)、冷凍品が5831トン(同2.0%増)といずれも増加した。米国での生産量の回復や国産枝肉相場高を背景に、ばらやかたロースなどの米国産の冷蔵品輸入量が増加しており、27年12月以降、7カ月連続で前年同月比2桁増となった。

推定出回り量は前年同月並みの6万2027トン(同0.2%増)となり、推定期末在庫は前月から3065トン積み増し、12万2722トン(同15.1%減)と、6カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。



牛枝肉卸売価格、相場上昇に一服感

このような状況の中、平成28年7月の東京市場における牛枝肉卸売価格(速報値)は、和牛去勢A−4が1キログラム当たり2573円(前年同月比12.7%高)、交雑種去勢B−3が同1725円(同4.1%高)、乳用種去勢B−2が同1019円(同6.9%安)となった。和牛を中心に、依然として前年同月を上回って推移しているものの、例年、お盆需要に向けて相場が上昇する梅雨明け以降も弱含みの展開となった。この背景として、高値疲れや例年と比べて遅い梅雨明けとなったことによる需要減退、冷蔵品輸入量の増加などに加え、参議院選挙が実施され、中元需要が落ち込んだとの声も多い。

平成27年度の牛肉自給率、前年度から2ポイント低下して40%に

平成27年度の牛肉自給率(枝肉重量ベース)は、国内生産量が47万5000トン(前年度比5.4%減)、輸入量が69万6000トン(同5.7%減)と減少し、国内消費仕向量が118万5000トン(同2.0%減)となった結果、前年度から2ポイント低下して40%となった。また、国民1人・1年当たりの供給純食料(精肉ベース)は、前年度より0.1キログラム減少し、5.8キログラム(同2.2%減)となった(図2)。

牛肉自給率は、昭和50年代まではおおむね70%を上回って推移していた。しかし、食生活の洋風化に伴い食肉需要が増大する中で、輸入枠の拡大とともに減少し始め、平成3年度の輸入自由化により輸入量が大幅に増加した結果、7年度には39%にまで落ち込んだ。その後、米国における牛海綿状脳症(BSE)の発生により、15年度に米国産牛肉の輸入停止措置がとられたことで輸入量が急減し、44%まで回復した。以降、18年8月には米国産の輸入停止措置が解除され、25年2月には月齢制限緩和措置がとられたものの、BSE発生前の水準までの輸入量の回復が見られなかったこともあり、40%台前半で推移している。

なお、飼料自給率を考慮した牛肉自給率は、6年度以降は10〜12%で推移しており、27年度は飼料自給率が28%と前年度から1ポイント上昇したものの、前年度から1ポイント低下して11%となった。



(畜産需給部 二又 志保)


				

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