需給動向 海外

◆米 国◆

牛肉輸出量は前年同月をかなり大きく上回る


早期出荷もあり、と畜頭数は増加

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が7月21日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2016年6月のと畜頭数は、前年同月比9.7%増の270万5700頭となった。肥育牛価格が低下傾向で推移していることから、肥育業者が積極的に早期出荷したため、同月中にフィードロットから出荷された肥育牛の頭数は191万2000頭と同9.4%増となった(図1)。一方、平均枝肉重量は、前月に引き続き前年同月を下回り、369.2キログラム(同0.2%減)となった。飼料穀物価格の上昇に伴う肥育期間の短縮に加え、早期出荷も影響していると考えられる。

こうしたことから、同月の牛肉生産量は、同9.6%増の99万4700トンとなり、5カ月連続で前年同月を上回った。また、2016年の生産量についてUSDAは1131万4852トン(前年比5.3%増)と見込み、前月に下方修正した予測値を上方修正した。



供給増を背景に価格は低調に推移

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が7月21日に公表した「Livestock Prices」によると、2016年7月の牛肉卸売価格(注1)は、牛肉供給量の増加を受けて前年同月比14.6%安の100ポンド当たり204米ドル(1キログラム当たり472円:1米ドル=105円)となり、13カ月連続で前年同月を下回った。

これに伴って生体牛価格も低調に推移しており、同月の肥育牛価格は同20.9%安の100ポンド当たり118米ドル(同273円)、肥育もと牛価格は同36.8%安の100ポンド当たり150米ドル(同347円)と、どちらも前年同月を大幅に下回った(図2)。

(注1) チョイス級、600〜900ポンドのカットアウトバリュー。カットアウトバリューとは、各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。



輸出量は主要各国いずれも前年同月比大幅増

USDA/ERSが7月7日に公表した「Livestock & Meat International Trade Data」によると、2016年5月の牛肉輸出量は前年同月比13.8%増の9万9362トンと、前年同月をかなり大きく上回った(図3)。主要国別に見ると、日本は2万7860トン(前年同月比29.4%増)、メキシコは1万6483トン(同39.5%増)、と、いずれも大幅に増加した。これらの要因としては、米国産牛肉の供給量が増加したこと、米国産牛肉卸売価格の低下、および主要通貨に対し米ドル安で推移する為替相場により国際市場における米国産牛肉の価格競争力が増したことが挙げられる。また、韓国は、同国内で牛飼養頭数および牛肉生産量が低調に推移していることを背景に、輸入需要が増加したことから1万7788トン(同60.6%増)となった。

USDAは今後の輸出動向に関して、牛群再構築を進めている豪州の牛肉生産量および輸出量が減少傾向で推移する中、米国産牛肉のシェアは増加傾向で推移すると見込んでおり、2016年の牛肉輸出量を111万9919トン(前年比9.0%増)と予測している。



(調査情報部 野田 圭介)


				

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