需給動向 国内

◆鶏 卵◆

鶏卵相場は、不需要期を迎え軟調に推移


平成28年7月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり184円(前年同月比29円安)と、6月以降200円を下回る水準となっており、5カ月連続で前年同月を下回った(図12)。

鶏卵卸売価格は、例年、気温の上昇に伴い低下し、夏場の不需要期に底を迎えるという傾向を示すが、今年も、梅雨入り後、夏場にかけて供給面では、気温の上昇に伴う卵重低下などによる小玉傾向がみられる一方、需要面ではテーブルエッグ、加工・業務筋ともに需要が鈍化し、相場は例年に準じた低下基調となっている。

今後については、気象庁発表の1カ月予報(8月13日〜9月12日)の平均気温は全国全ての地域において「平年より高くなる」確率が60%以上となっており、全国的な猛暑と予想されている。供給面では、採卵用ひなえ付け羽数が増加しているものの、産卵率の低下などが懸念されている。一方、需要面では、学校給食が休止していることや暑さによる家庭での調理機会の減少が見込まれている。それに加え、一部外食店において持ち帰り用生卵の提供が引き続き停止されるなど、末端消費の低迷も予想されており、鶏卵相場は例年どおり軟調に推移するとの声が多い。



6カ月ぶりに鶏卵生産者経営安定事業が発動

(一社)日本養鶏協会は平成28年8月1日、鶏卵生産者経営安定事業による7月の補填価格を1キログラム当たり6.093円と発表した。標準取引価格(JA全農たまご株式会社の東日本営業本部および西日本営業本部において販売された、鶏卵規格取引要綱に定める箱詰鶏卵規格およびパック詰鶏卵規格に定める全種類の鶏卵の加重平均価格)が補填基準価格(189円/キログラム)を下回ったことから、28年1月以来の発動となった。

平成27年度の鶏卵自給率、前年度より1%上昇して96%に

平成27年度の鶏卵自給率(殻付重量ベース)は、国内生産量が252万1000トン(前年度比0.8%増)、輸入量が11万4000トン(同11.6%減)、国内消費仕向量が263万2000トン(同0.2%増)となった結果、前年度より1ポイント上昇し96%となった。また、国民1人・1年当たりの供給純食料(重量ベース(付着卵白および殻を除く))は前年度並みの16.7キログラム(同0.1%増)となった(図13)。

昭和60年度と比較して畜産物の自給率(重量ベース)が軒並み低下している中、鶏卵自給率は、41年度まで100%(完全自給型)を越えていたものの、その後、半世紀にわたって90%台後半の水準を維持している。

この自給率の高さは、特に日本における生食文化を念頭において、諸外国に比べ極端に短い賞味期限が設定されていることに加え、卵の殻が割れやすく、長距離輸送に適さないという点、さらに加工・業務用として用いられる乾燥卵、液卵においても、輸入品に対して国産品が原料としてある程度価格競争力を有することが大きいと思われる。

なお、飼料自給率を考慮した鶏卵自給率は、約40年間にわたって10%台前半での推移が続いており、27年度は前年度と同率の13%となった。



(畜産需給部 小林 智也)


				

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