需給動向 海外

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乳製品輸出は大幅増、国際需給に回復の兆し


5月の生乳生産は増加も、年度累計は減少

ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2016年5月の生乳生産量は824万トン(前年同月比3.5%増)とやや増加した(図22)。しかし、2015/16年度(6月〜翌5月)の累計では2156万3000トン(前年度比1.6%減)と、わずかではあるものの、2012/13年度以来3年ぶりに前年度を下回った(図23)。





ニュージーランド(NZ)最大手乳業メーカーのフォンテラ社によると、5月は通常、乾乳期に入るため、生乳生産量は少なくなるものの、今年に関しては、主要な酪農地域で気候条件が比較的良好であったことから、前年同月を上回ったとみられる。しかしながら、年度累計で見ると、低乳価に伴う酪農家の生産意欲の減退を受けて、生乳生産が減少したとみられている。

また、フォンテラ社が発表した2016年6月の集乳量は、前年同月比1.4%減とわずかに減少した。同社の集乳シェアは9割近くであるが、地域別の内訳を見ると、集乳量の4分の3を占める北島では0.5%増となったものの、南島では7.2%減と南島の減少幅が大きく、現地専門家によると、これは、乳価の低迷を受けて乳牛の淘汰が進んだことが背景にあるとしている。

6月乳製品輸出、大幅に増加

NZ統計局(Statistics NZ)によると、2016年6月の主な乳製品の輸出量は、以下の通りとなり、いずれの品目も前年同月を大幅に上回る結果となった(表8、図24)。





品目別に見ると、脱脂粉乳は、中国向けが9000トンと前年同月比1.5倍となったほか、東南アジア向けも軒並み増加し、また、全粉乳は、前年の反動から中国向けが大幅に増加した。バターは、中東向けが増加したことに加え、米国向けが堅調な需要により増加した。チーズは、最大の輸出先である日本向けが3491トンと前年同月の2倍以上と大幅に増加した。

乳製品国際価格は回復の兆しも、酪農家には苦境が続く

2016年7月19日に開催された乳製品国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表9、図25)。





全粉乳を除いて前回を下回っているものの、前年同期比で見るといずれの品目もかなり上昇した。これは、EUをはじめとした主要な酪農産地で、今後、乳価下落に伴う減産が見込まれることが背景にあるとみられる。

現地報道によると、全粉乳の価格上昇は、先物市場にも好影響を与えていることから、乳製品国際価格は2016年の後半にかけて上向いていく兆しもあるとしている。しかし、生産者支払乳価の回復には時間がかかるとみられることから、個々の酪農家にとっては依然として厳しいシーズンが続くだろうとしている。

NZ首相、インドネシアの重要性を再認識

NZのキー首相は7月10日、2015年9月に操業を開始した、フォンテラ社のインドネシア工場を訪問した。同工場は、ASEANではここ10年で最大となる3600万NZドル(27億3600万円:1NZドル=76円)を投じて建設され、同社ブランドの粉乳を年間8万7000パック近く出荷する能力を有する。これまでも両国は、酪農家相互の交流を支援するスカラシッププログラムを4年間にわたって実施している。フォンテラ社は、インドネシア市場を、成長の見込みの高い、優先市場の一つとして位置付けており、キー首相も同様の認識を有していると伝えられている。

(調査情報部 竹谷 亮佑)


				

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