需給動向 海外

◆米 国◆

生乳生産量は2年6カ月連続で前年を上回って推移


最大生産地カリフォルニア州では減産続く

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2016年7月21日に公表した「Milk Production」によると、6月の乳用経産牛の飼養頭数は、前年同月並みの932万8000頭(前年同月比0.1%増)となった。同月の全米の1頭当たり平均乳量は、864キログラム(同1.4%増)とわずかに増加した。

2016年6月の生乳生産量は前年同月比1.5%増の806万トンとなり、2014年1月以降前年を上回って推移している(図13)。州別に見ると、最大の生乳生産州であるカリフォルニア州は、同1.0%減となり、干ばつにより18カ月連続で前年同月を下回って推移しているが、その減少幅は縮小傾向にある。フロリダ州は、蒸し暑かったことから、同4.5%の減少となった。一方、ウィスコンシン州やミシガン州では例年より気温が高かったものの、1頭当たり平均乳量が増加したことで、同3.8%および同5.4%増加した。

USDAは2016年の生乳生産量の予測について、牛群拡大のペースが鈍化するとして、9634万2500トン(前年比1.8%増)に下方修正した。一方、2017年の予測については、2016年末以降に乳価が上昇し、かつ、飼料コストが安値で推移するとの見込みから、9779万4000トン(同1.5%増)と予測している。



乳価は前年を下回って推移

USDA/NASSが7月29日に公表した「Agricultural Prices」によると、2016年6月の全米の平均乳価は、生乳生産量の増加と乳製品輸出の不振による需給緩和により、前年同月比12.9%安の100ポンド当たり14.8米ドル(1キログラム当たり34円:1米ドル=105円)となり、2014年12月以降、前年を下回って推移している(図14)。



チーズ、バターともに生産は好調

USDA/NASSが8月4日に公表した「Dairy Products」によると、6月のチーズの生産量は、44万7000トン(前年同月比1.1%増)となり、堅調な国内消費量などを受けて2013年4月以降前年同月を上回って推移している(図15)。一方、アジア市場での他国産との競合や世界的な需給緩和によりチーズの輸出量が減少していることから、6月末時点のチーズの在庫量は56万800トン(前年同月比9.6%増)とかなりの程度増加している。



また、同月のバターの生産量は、前年同月比6.4%増の6万9000トンと、8カ月連続で前年同月を上回って推移している(図16)。6月末時点の在庫量は、同27.4%増の14万8000トンと前年同月を大幅に上回っている。一方、同月のバター価格は、堅調な国内需要を背景に同18.8%高の1ポンド当たり226.4セント(1キログラム当たり524円)となっており、USDAは、この価格上昇が輸出競争力の減退の要因となっているとしている。



(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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