需給動向 海外

◆中 国◆

上半期の豚肉輸入が急増


豚飼養頭数は引き続き低水準で推移

中国農業部によると、2016年の豚飼養頭数は、豚肉需要期に当たる2月に3億6669万頭(前年同月比5.9%減)まで減少した後、小幅な増加に転じ、6月には3億7631万頭(同2.2%減)となった(図10)。一方、繁殖用母豚頭数は、2月に3762万頭(同8.5%減)まで減少した後、横ばいで推移している。現地報道では、これは市場における生体豚出荷価格の上昇により、母豚の淘汰が控えられたことによると伝えられている。



価格の上昇はいったん落ち着く

2016年の生体豚出荷価格は、供給不足を反映し、5月に前年同月比46.4%高の1キログラム当たり20.79元(333円:1元=16円)まで上昇した後、下落に転じた(図11)。同価格が1キログラム当たり20元(320円)を超えたのは、2011年9月以来となる。なお、生体豚の出荷時体重は増加傾向にあるという。

生体豚出荷価格が上げ止まった理由としては、季節的要因から消費者の肉類消費が落ち込んでいることなどが挙げられるが、母豚頭数が増加しない中、総じて供給不足であることから、今後の同価格の下落幅は限定的とみられる。

一方、同価格が高値で推移していることに併せて、トウモロコシなどの飼料価格が比較的安値で推移しているため、養豚の収益性は高まっており、現在の肥育豚飼育の純利益は1頭当たり300〜500元(4800〜8000円)と言われている。同国では、環境保全のため生産拠点を移転したり、操業を停止する養豚場がある一方で、大規模経営の中には収益性の高さを背景に生産規模拡大のための投資を再開し始めている者もみられる。



豚肉小売価格も、年明け以降高水準で推移しており、2016年6月は、前年同月比31.2%高の1キログラム当たり33.32元(533円)となった(図12)。



豚肉小売価格の高騰を受け、豚肉の安定供給と適正価格を維持するため、主要都市では地方政府による備蓄豚肉や生体豚の放出が行われた(表5)。



豚肉輸入量は上半期だけで昨年実績に迫る勢い

2016年1〜6月の豚肉輸入量は、前年同期比138.3%増の76万2338トンとなった(表6)。これは、2015年の年間輸入実績に迫る勢いである。輸入先国別で見ると、引き続きEU諸国の伸びが著しいが、全体量の増加に伴いその他の各国も大きく伸びている。個別に見ると、第1位のドイツは15万3593トン(前年同期比84.2%増)、第2位のスペインは13万5938トン(同137.1%増)と好調を維持している。一方、従来、中国の輸入先国第1位であった米国は、2015年にラクトパミン問題で輸入が減少していたものの、上半期合計で前年を上回る10万8639トン(同101%増)に回復した。その他、デンマーク、カナダ、フランスも既に前年実績を上回っている。



(調査情報部 木田 秀一郎)


				

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