需給動向 国内 |
冷蔵品輸入量は13カ月連続で前年同月を上回る |
平成28年6月の豚肉需給を見ると、生産量は7万1337トン(前年同月比0.8%増)と9カ月連続で前年同月を上回った。輸入量は7万5605トン(同17.2%増)と前年同月を大幅に上回った。輸入量のうちテーブルミートとして消費されることの多い冷蔵品は、3万982トン(同26.2%増)と13カ月連続で前年同月を上回って推移している。一方、冷凍品は北米産の減少が続いているものの、デンマークやスペインなどのEU産が増加したことにより4万4622トン(同11.7%増)と前年同月をかなり大きく上回った。推定出回り量は前年同月をやや上回る14万4892トン(同3.2%増)となり、推定期末在庫は前月から2006トン積み増したものの、18万278トン(同4.5%減)と前年同月をやや下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
第1四半期の豚肉輸入量はセーフガード発動基準を下回る
平成28年6月の冷蔵品輸入量は、3万982トン(前年同月比26.2%増)と、2カ月ぶりに3万トン超えとなった(図3)。冷蔵品は、北米からの輸入が9割を占めているが、豚流行性下痢(PED)の影響から回復し、生産量が増加基調となっていることから、現地相場安が続いており、輸入業者が冷蔵品を買い付けしやすい環境にあると思われる。また、豚枝肉卸売価格(省令価格)は例年、と畜頭数が少なくなる6月に高くなる傾向にあるが、今年は5月の大型連休後から価格が上昇し始めたことから6月以降の高値を想定し、輸入業者が買い付けを増やしたとの声も聞かれる。
輸入冷蔵豚肉は、国産豚肉と競合関係にあるものの、6月の豚枝肉卸売価格は1キログラム当たり629円(同6.3%高)と高値となり、冷蔵品輸入量の増加による卸売価格への大きな影響は見られなかった。また、財務省が7月29日に告示した28年度第1四半期(4〜6月)の豚肉等の輸入量は19万6265トンと前年同期比では、5.5%増加しているが、SG発動基準数量の21万4698トンを下回った。今後も輸入量の増加傾向が続くのか引き続き注視する必要がある。
平成27年度の豚肉自給率、前年度に引き続き51%に
平成27年度の豚肉自給率(枝肉重量ベース)は、国内生産量が126万8000トン(前年度比1.4%増)、輸入量が122万3000トン(同0.6%増)、国内消費仕向量が250万2000トン(同2.5%増)となった結果、前年度と同率の51%となった(図4)。
昭和40年度に100%であった豚肉の自給率は、46年度の輸入自由化に伴い、増減を繰り返しながらも徐々に低下傾向で推移し、平成11年度以降50%台となっている。近年は、国内生産量はほぼ横ばいで推移していたものの、26年度からはPEDの発生などの影響を受け減少したことに加え、国産品の代替として、輸入量が増加したことから、2年連続で51%となっている。
なお、国民1人・1年当たりの供給純食料(精肉ベース)は、前年度よりも0.3キログラム増え、12.2キログラム(同2.5%増)となった。また、飼料自給率を考慮した豚肉自給率は、鶏と同様に輸入飼料依存度が高いことから、平成2年度以降は5〜7%で推移しており、27年度は濃厚飼料自給率が前年と同じ14%であったことから、前年度と同率の7%となった。
(畜産需給部 小林 智也)