需給動向 海外

◆米 国◆

豚肉生産量は、生体豚の増加に伴い、今後も増加見込み


豚飼養頭数は過去最高を記録

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2016年6月24日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、6月1日現在の豚飼養頭数は6838万1000頭(前年比1.8%増)となり、同日時点としては過去最多となった(表2)。内訳を見ると、繁殖豚は597万9000頭(同0.9%増)、肥育豚は6240万2000頭(同1.9%増)とともにわずかに増加した。

USDAは、3〜5月の産子数が過去最多となったことから、これらの出荷時期となる第4四半期(10~12月)には、生体豚価格が出荷頭数の増加により低下し、損益分岐点を下回る可能性があるとしている。また、1腹当たりの産子数は、2016年3〜5月では前年同期比1.1%増の10.48頭と、同期としては過去最多となった。



と畜頭数の増加により豚肉生産量は増加

USDA/NASSが7月21日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2016年上期(1〜6月)のと畜頭数は、前年同期比1.4%増の5737万頭と増加した一方、1頭当たり枝肉重量は、同0.5%減の96.5キログラムと減少した。枝肉重量の減少要因についてUSDAは、天候や疾病などによる影響に加え、中国市場を見据えたパッカーからの要請により、ラクトパミン(注2)を使用する生産者が減少した可能性を挙げている。

と畜頭数の増加に伴い、豚肉生産量は、前年同期比0.9%増の553万トンとなった(図6)。USDAは今後の生産量について、2016年下期(7〜12月)を同3.1%増の580万6000トン、2017年上期を同0.8%増の557万7000トンと、増加傾向で推移すると見込んでいる。また、業界誌では、今後豚肉産業に影響を及ぼす要因として、上昇の可能性があるトウモロコシ価格や数カ所で建設予定である食肉加工場からの生体豚需要、増加傾向で推移している生産者の収益性などを挙げている。

(注2) 豚や牛の体重増加や飼料効率の改善、赤身肉割合の向上に用いられる。



輸出需要が豚肉卸売価格を押し上げ

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が7月7日に公表した「Pork:Monthly US Trade」によると、2016年1〜5月の豚肉輸出量は、前年同期比1.2%増の95万8000トンとなった。主要輸出先国別に見ると、多くの国が前年同期を下回る一方、中国および香港向けがそれぞれ同169.6%増、68.5%増と大幅に前年を上回った(図7)。



USDA/ERSによると、2016年7月の豚肉卸売価格は、中国などからの需要の増加により、前年同月比6.8%高の100ポンド当たり89米ドル(1キログラム当たり206円:1米ドル=105円)(速報値)と、2016年2月以降前年を上回って推移している(図8)。



(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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