需給動向 海外

◆豪 州◆

牛肉生産・輸出は引き続き減少


牛肉生産量、と畜ともに低調

豪州統計局(ABS)によると、2016年12月の成牛と畜頭数は51万8900頭(前年同月比12.3%減)とかなり大きく減少し、18カ月連続の前年同月割れとなった(図4)。同月の牛肉生産量(子牛肉を除く。)についても、15万1420トン(同9.2%減)とかなりの程度減少した。2016年の通年では、成牛と畜頭数は、干ばつによる大幅減を記録した2011年に次ぐ低水準となる728万7900頭(前年比19.1%減)、牛肉生産量は210万425トン(同16.4%減)と、牛群再構築に伴う牛肉生産の減少傾向が顕著に表れた結果となった(図5)。

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2017年の週間と畜頭数は、3月第1週現在、業界関係者の期待に反して回復は見られておらず、12万頭台で推移している。現地報道によると、パッカーによっては、と畜場の稼働を停止するなどの対応に追われており、主要な輸出先国が、安価な米国産やブラジル産にシフトする傾向も見られる中、生産回復の遅れが、パッカーの経営動向に影を落としている。

若齢牛価格、少雨などにより下落

豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、2017年2月末時点で1キログラム当たり613.25豪セント(540円、1豪ドル=88円)となった(図6)。

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2016年10月に同723.25豪セント(636円)のピークを記録して以降、もと牛供給が依然としてタイトな状況が続いているにもかかわらず、緩やかな下落を続けている。これについてMLAは、肉牛の需要サイドに要因があるとしている。すなわち、肉牛飼養の過半を占める北東部(ニューサウスウェールズ州北部〜クイーンズランド州)において、夏場の少雨に伴い牧草生育環境が悪化しており、向こう3カ月も少雨が見込まれることから、肥育農家のもと牛導入意欲が低下したことや、肥育農家の多くが、価格下落を見越して一時的にもと牛導入を見送った、といった動きが背景にあるとみられる。

2017年の牛肉輸出、前年を下回る滑り出し

豪州農業・水資源省(DAWR)によると、2017年2月の牛肉輸出量は、生産減の影響を受け、7万4816トン(前年同月比17.6%減)となり、1月に続いて前年同月をかなり下回った(図7)。

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主な輸出先国別に見ると、米国向けは、米国での生産回復を受け輸入需要が低調なことから1万7292トン(同34.7%減)と大幅減を記録した。日本向けは、牧草肥育牛のオファー減を補う形で穀物肥育牛の輸入が増加したことを受け、2万2818トン(同27.9%増)と大幅に増加したが、輸入単価は、冷蔵品を中心に前年同月比で1割近く上昇しており、業界関係者は、相場は今後もしばらくはこの水準が続くとしている。

また、2017年2月にMLAが開催したセミナーでの発表によると、2017年の牛肉輸出量は、生産減に伴い97万トン(前年比4.7%減)まで減少し、回復は翌年以降にずれ込むとしている。しかし、2016年には、米国向けを上回り第1位となった日本市場では、クリーンでグリーンなブランドイメージや、日豪EPAによる関税面での優位性などを生かして、積極的な販促活動を展開していくとしている。

(調査情報部 竹谷 亮佑)


				

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