需給動向 海外

◆カナダ◆

牛肉輸出は堅調も、牛群拡大に歯止め


2016年の牛肉輸出量は、前年をかなり上回る

カナダ農業省によると、2016年の牛肉輸出量は35万9601トンとなり、前年を11.8%上回った(表2)。この要因としては、カナダにおける牛肉生産量の増加や豪州産牛肉輸出量の減少などが挙げられる。

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輸出先国別にみると、最大輸出先である米国向けは、競合国であった豪州の輸出が減少していることから、前年比17.2%増の26万9842トンであった。また、同じ要因により、日本向けも2万583トンと、前年を43.1%上回った。

また、前年比の増減率が最も大きかったのは韓国であった。同国は2015年2月、牛海綿状脳症(BSE)の発生を理由にカナダからの牛肉に対し輸入停止措置を実施したが、同年12月31日にこれを解除し、輸入を再開した。このため2016年の同国向け輸出量は7062トン(前年比1242.7%増)と、輸入停止措置以前の水準に近づいた。

なお、メキシコも2003年にカナダでBSEが発生した際に輸入停止した30カ月齢以上の牛に由来する牛肉の輸入を2016年10月1日から再開したが、カナダドルに対しペソ安で推移した為替相場などが影響したため、同国向けは前年比16.9%減の1万6143トンにとどまった。

米国向け生体牛輸出は、かなりの程度減少

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2016年に米国が輸入したカナダ産生体牛頭数は前年をかなりの程度下回る76万4970頭(前年比7.8%減)であった(図3)。この要因としては、米国内における供給頭数の増加および生体牛価格低下により、特にカナダ産もと牛に対する需要が大幅に減少したことなどが挙げられる。

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未経産牛飼養頭数は、前年比微減

カナダ統計局(Statistics Canada)が3月3日に公表した牛の飼養動向調査によると、2017年1月1日時点の総飼養頭数は2年連続で前年を上回り、1206万5000頭(前年比0.2%増)となった(表3)。区分別にみると、去勢牛は前年比0.9%増の118万8000頭となった。また、牛群再構築の指標となる未経産牛頭数については、肉用、乳用ともに前年をわずかに下回った。この背景には、供給頭数の増加や輸出頭数の減少により肥育もと牛価格が低下していることを受けて、生産者の増頭意欲が弱まっていることがあるとみられる。

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(調査情報部 野田 圭介)


				

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