需給動向 国内 |
平成29年1月の牛肉需給を見ると、生産量は2万4378トン(前年同月比0.5%増)と前年同月をわずかに上回った。品種別では、乳用種が7567トン(同4.4%減)と5カ月連続で減少した一方、和牛が1万176トン(同1.0%増)と23カ月ぶりに増加に転じ、交雑種は酪農家における乳用種への黒毛和種交配率の上昇により、6340トン(同7.2%増)と7カ月連続で前年同月を上回った。
輸入量は3万4705トン(同26.4%増)、うち冷蔵品が1万7449トン(同23.2%増)、冷凍品が1万7236トン(同30.8%増)といずれも前年同月を大幅に上回った。
推定出回り量は前年同月をかなりの程度上回る6万1691トン(同7.3%増)となり、推定期末在庫は前月から2705トンを取り崩し、10万5235トン(同16.8%減)と13カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
これまで高止まりが続いていた和牛の卸売価格は、年明け以降、弱含みの展開となっている。平成29年2月の和牛去勢の牛枝肉卸売価格(東京市場、速報値)を見ると、A-5は1キログラム当たり2835円(前年同月比0.7%高)と前年同月をわずかに上回ったものの、A-4が同2481円(同5.1%安)、A-3が同2236円(同9.3%安)、A-2が同1970円(同14.7%安)といずれも前年同月を下回った(図1)。
関係者によると、決算期を控え、購買者の手当てが一段と慎重になっていることなどが影響しているものとみられる。高値疲れや冷蔵品輸入量の増加などにより、特に、量販店などでの和牛の売れ行きが鈍化し、交雑種や輸入牛肉にシフトしている。この結果、和牛のうち、量販店での取扱量の多い下位等級の相場が低下し、格付等級間の価格差拡大につながっているものと思われる。
(公社)日本食肉格付協会は、平成29年2月7日、「平成28年次(1〜12月)牛枝肉格付結果」を公表した。これによると、牛枝肉の総格付頭数は、全国的な出荷頭数の減少を反映し、89万405頭(前年比5.1%減)と前年をやや下回った。一方、成牛のと畜頭数(104万6080頭)に対する格付割合は、85.1%(同0.1ポイント減)とわずかな減少にとどまった。
格付結果のうち、和牛去勢の歩留等級別割合を見ると、「A」が92.8%と前年から0.6ポイント増加した一方、「B」は6.9%と0.6ポイント減少し、「C」は前年同の0.3%となった。
また、和牛去勢の格付構成割合は、「A-5」が34.2%、「A-4」が40.5%、「A-3」が15.2%、「A-2」が2.8%と、上位等級の割合が上昇した(図2)。中でも「A-5」は、前年から2.9ポイント増加し、5年連続の上昇となった。個体能力の高い系統の利用が進んでいるほか、もと牛価格の高騰など生産コストが上昇する中、肥育農家がより手取りを増やせる上位等級を目指していることなどが背景にあるものとみられる。
(畜産需給部 二又 志保)