需給動向 海外 |
◆中国◆
鳥インフルエンザのまん延により供給・需要ともに減少
現地報道によると、中国では冬季に入り、広東省や湖南省など南部地方を中心に鳥インフルエンザが発生した。それに伴い広州市では2月16日、家きん類を取り扱う市場が営業停止となったほか、生体市場の多くが閉鎖されていると伝えられている。鶏肉の小売価格は、全国平均で見ると高値安定で推移している(図15)。一方で、現地報道では、生体鶏の取引価格は下落し回復していないとされる。これは、市場の閉鎖により供給量が減少したものの、需要も落ち込んでいるためとされる。
なお、中国の鶏肉消費では、歴史的に消費者が生体鶏を自らと畜して消費することを好むという特徴がある。しかし、政府は、動物疾病のまん延防止や食品安全性の確保の観点から、生体取引を縮小する政策をとっている。
一方、冷凍鶏肉の輸入動向を見ると、2015年は米国で鳥インフルエンザが発生し、同国からの鶏肉輸入が禁止されたことから減少した。2016年はブラジルをはじめとする南米産の輸入が大きく増え、前年比44%増の56万8000トンとなった(図16)。なお、同年のブラジル産の平均輸入価格(CIF価格)は1トン当たり約2200米ドル(25万1000円、1米ドル=114円)であり、アルゼンチン産もほぼ同水準で、チリ産はやや高めの同2700米ドル(30万8000円)となっている。
日本向けが主体の鶏肉調製品の輸出は、2014年以降の食品安全性に関する懸念などから低調に推移しており、2016年の輸出量は前年比1.5%減の21万トンとなった。同年の日本向け平均輸出価格は、前年に比べ100ドル程度低い1トン当たり4135米ドル(47万1000円)で安定的に推移した。その他の国向けの輸出量も前年に比べて大きな変化は無く、固定客向けで推移したと推察される(図17)。
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2017年の中国の鶏肉生産量は、前年比9.4%減の1150万トンと見込まれている(表8)。一方、輸入量は同34.1%増加し、鶏肉調製品を中心とした輸出は同12.7%減と引き続き減少するとしている。また、消費量も、国内生産の減少や鳥インフルエンザ対策として生体市場が一時閉鎖されるなどから同7.9%の減少が見込まれている。
国内生産の制限要因として挙げられるのが、世界各国で鳥インフルエンザが発生したことによる種鶏の輸入停止の影響であるが、2016年には米国産種鶏が輸入停止され、代替調達先としてフランスにシフトしたものの、その後フランスも疾病発生により輸入停止となったため、2016年にはさらなる代替輸入先としてスペイン、ポーランド、ニュージーランドからの輸入が急増した(図18)。
(調査情報部 木田 秀一郎)