需給動向 海外 |
◆タイ◆
2016年の輸出量、生産量はともに増加、2017年も増加する見通し
2016年12月の鶏肉輸出量(調製品等を含む。)は、6万6013トン(前年同月比3.0%増)となり、2016年全体で76万3201トン(前年比9.6%増)となった(図19)。
農業・協同組合省農業経済局(以下「経済局」という)は、このほど発表した「主要農畜産物の2017年の見通し」の中で、2016年の鶏肉輸出量が増加した要因として、年間を通して主要輸出先である日本やEUの需要が堅調に推移したことを挙げている。
2017年もこの傾向は継続するとし、加えて、韓国向け冷凍鶏肉の輸出再開、中国など輸出競合国の鳥インフルエンザの発生による輸出量の減少などにより、世界市場におけるタイの鶏肉輸出シェアは拡大するとしている。一方で、ブロイラーの種鶏の多くを海外から輸入しているため、種鶏生産国において鳥インフルエンザなどの疾病が発生した場合には、ブロイラー産業は多大な影響を受けるとしている。
また、タイのブロイラー協会は、EU向け鶏肉輸出の懸念材料として、英国のEU離脱に伴う関税割当(注)の廃止を挙げている。タイは、EUの関税割当の約5割を英国向けが占めているため、今後のEUと英国の動向を注視しなければならないとしている。
(注) EUは、タイ産の鶏肉調製品および冷凍加塩鶏肉の輸入に対して、それぞれ16万0033トン、9万2610トンの関税割当を設定している。
2016年の鶏肉生産量は、輸出需要および国内消費量の増加を背景に、各月で前年同月比3〜5%増で推移し、全体は191万6000トン(前年比3.7%増)となった。(表9、図20)。
経済局は2017年の見通しにおいて、引き続き国内外の需要は増加傾向で推移するとしており、生産量を200万1000トン(同4.4%増)としている。また、国内消費量については、最も安価な食肉であることに加えて、他の食肉に比べて脂肪分が少なく最近の消費者の健康志向に合致していることから、129万1000トン(同2.8%増)としている。
(調査情報部 青沼 悠平)