需給動向 海外 |
◆米 国◆
鶏肉生産量は過去最高を更新
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2017年2月24日に公表した「Poultry Slaughter」によると、2016年のブロイラーの処理羽数は、前年比0.9%増の87億6842万7000羽となった。また、1羽当たり平均処理時生体重は、飼料穀物価格安などにより同0.7%増の2.80キログラムと過去最高を記録した。この結果、鶏肉生産量は、同1.6%増の1845万9000トンと2013年以降4年連続で過去最高を記録した(図10)。
生産量を州別に見ると、最も多いジョージア州で前年比0.5%増(254万7000トン)となったほか、2番目および3番目に多いノースカロライナ州(214万3000トン、前年比0.3%増)、アーカンソー州(207万9000トン、同5.3%増)でもそれぞれ前年を上回った。
また、2017年の鶏肉生産量についてUSDAは、前年比2.1%増の1883万8000トンとさらに過去最高を更新すると予測している。
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2016年の鶏肉輸出量は、前年比5.2%増の301万5000トンとなった(表5)。鳥インフルエンザ発生に伴う輸出先国の禁輸措置などによりかなり減少した前年からはやや増加したものの、2016年にも発生した鳥インフルエンザの影響や米ドル高により、2014年比では8.9%の減少となった。
輸出先国・地域別に見ると、最大の輸出先であるメキシコ向けは、前年比4.6%減の63万7000トン、2番目に多いカナダ向けは同10.4%減の16万2000トンと、米ドル高の為替相場などにより前年を下回った。一方、キューバ(15万9000トン、前年比50.5%増)や香港(15万2000トン、同14.5%増)向けは、それぞれ大きく増加した。この他、フィリピン向け(9万1000トン、同27.1%増)なども増加しており、USDAはこの要因について、EUでの鳥インフルエンザの発生に伴う代替需要を挙げている。
USDA/NASSが2月23日に公表した「Cold Storage」によると、2017年1月末時点の冷凍鶏肉在庫量は、35万1000トンとなり、在庫が高水準であった前年同月に比べ5.7%減少したものの、依然として高い水準ある(図11)。
在庫量を部位別に見ると、多くが輸出に向けられるもも肉は、アジア向けを中心とした輸出の増加などにより、前年同月比27.7%減の6000トンとなった。一方、主に国内で消費されるむね肉は、同5.5%増の8万7000トンとやや増加した。
(調査情報部 渡邊 陽介)