需給動向 海外

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生乳出荷量は7カ月連続減少も乳価上昇が一服


2016年生乳出荷量は6月以降減少に転じ微増にとどまる

欧州委員会によると、2016年12月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比2.9%減の1210万トンとなった(図21)。

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2016年通期(1〜12月)では、前年比0.5%増の1億5242万トンと前年をわずかに上回った。EUの生乳出荷は、乳価が高値で推移した2013年末から2014年初め以降、2015年3月末の生乳クオータ制度の廃止を見込んだ増産傾向が長く続き、2016年に入ってからも前半はその傾向が強かった。しかしながら、乳価低迷により多くの生産者が減産体制をとったことなどから、6月から12月まで7カ月連続で前年を下回った。

加盟国別では、EU最大の生乳出荷国であるドイツが前年比0.3%増と微増となり、第2位のフランスが同2.5%減、第3位の英国が同4.3%減と減少に転じた(表10)。一方、第4位のオランダ(同7.5%増)、第8位のアイルランド(同4.0%増)は増加を続けている。乳価が低迷し、特に年後半には減産傾向が強まる国が多く見られたが、オランダ、アイルランドの両国は、乳用牛の飼養頭数が増加するなど生産基盤をさらに拡大させており、生乳クオータ制度撤廃以降の勢いが続いている。

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乳価は半年ぶりに上昇がストップ

欧州委員会によると、2017年1月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、生乳出荷量の減少などにより前年同月比11.1%高の100キログラム当たり33.05ユーロ(1キログラム当たり40.32円:1ユーロ=122円)となった(図22)。

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ただし、前月比では同額と、2016年8月以降続いた上昇がストップした。

脱脂粉乳公的在庫の5回目売渡入札、4回連続の全量不落

欧州委員会は、2月21日に実施した脱脂粉乳公的在庫の5回目の売渡入札の結果を公表した(表11)。それによると、5回目も落札はなく、2回目以降、4回連続の不落になった。

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今回の応札数量は、過去最低となる1386トンで応札率もわずか6.3%まで落ち込むなど、公的在庫に対する需要は減退しており、応札価格も下落傾向にある。

乳価が十分に回復しておらず、時期尚早であると生産者団体から批判のあった中で行われた入札がこのような結果に終わったことで、欧州委員会はさらに難しい立場に立たされることになった。

なお、脱脂粉乳の平均卸売価格は、1月2日の週には同210.74ユーロ(2万5710円)を記録したものの、以降は値を下げて直近の2月20日の週には再び200ユーロを割り込み193ユーロ(2万3546円)となっている。

(調査情報部 大内田 一弘)


				

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