需給動向 国内 |
平成29年1月の生乳生産量は、61万8110トン(前年同月比1.4%減)と5カ月連続で前年同月を下回った(図7)。減産の要因は、北海道の生産回復の遅れや都府県での減産傾向が続いていることが挙げられる。内訳を見ると、国内生産量の約50%を占める北海道が32万4329トン(同1.9%減)、都府県が29万3781トン(同1.0%減)といずれも減少した。
用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは、32万283トン(同0.9%増)と15カ月連続で前年同月を上回った。一方、乳製品向けは、牛乳等向けの増加により29万3589トン(同3.8%減)と7カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
1月の牛乳生産量は、牛乳の底堅い需要や牛乳が健康に良い効果をもたらすとの内容の報道などが追い風となり、前年同月比3.5%増、過去5年間で見ても1月としては最も高い伸び率を記録した。また、加工乳・成分調整牛乳も同3.5%増と10カ月ぶりに前年同月を上回った。
加工乳・成分調整牛乳のうち、業務用については同14.4%増、成分調整牛乳は同3.3%増と共に増加となった。業務用が伸びた要因としては、都市部などを中心としたコーヒーショップの増加による需要、成分調整牛乳は低脂肪牛乳を取り上げた報道の影響やカフェラテなどを取り扱う大手コーヒーチェーンでの需要増とみられる。
28年(1〜12月)の全国・全世帯(2人以上の世帯)の平均牛乳・乳製品の購入量のうち、牛乳は78.8リットル(前年比1.5%増)となり、5年ぶりに前年を上回った(総務省「家計調査報告」)(図8)。牛乳の消費量は、清涼飲料水などの台頭に加え、27年4月の小売価格改定などにより減少していた。
この増加の背景として、原料価格の上昇により加工乳と牛乳の価格差が縮小したこと、消費者が加工乳などよりも牛乳本来の風味を好む傾向になったこと、シリアルと食べるといった消費スタイルの変化などが考えられる。
また、バターは、474グラム(同3.3%増)とやや増加した。これは、国産および外国産バターの供給量増加が要因とみられる。需要が増加傾向で推移するチーズは、3106グラム(同7.1%増)と3キログラムを超えた。他の乳製品と比べてチーズ価格は上昇基調にある中でも需要は好調を維持している(図9)。この背景には、チーズの食べ方などが消費者に浸透したこと、プロセスチーズなどを中心にさまざまな商品や種類が増えたことで、消費者にとって選択肢が拡大したことなどが考えられる。
(畜産需給部 山神 尭基)