需給動向 海外

◆豪 州◆

肉牛取引価格、40カ月ぶりに前年同月を下回る


と畜頭数、イースター休暇も加わり大幅減

豪州統計局(ABS)によると、2017年4月の成牛と畜頭数は、牛飼養頭数の減少と牛群再構築に伴う雌牛の保留に加え、イースター休暇などにより食肉処理場の稼働日数が少なかったことから、49万500頭(前年同月比24.5%減)と大幅に減少し、同月のと畜頭数としては27年ぶりに50万頭を下回った(図3)。

025a

この結果、同月の牛肉生産量は、14万6771トン(同19.8%減)と22カ月連続で前年同月を下回った。

肉牛取引価格、取引頭数の回復を受け下落

豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、6月30日時点で1キログラム当たり621豪セント(546円:1豪ドル=88円)と、5月末時点から同28豪セント(24円)下落した(図4)。同価格は、2014年4月以降、米国を中心とした輸出需要の増加や牛飼養頭数の減少などに伴う取引頭数の減少などにより上昇を続け、2016年8〜10月には同700豪セント(616円)を上回るなど記録的な高値で推移していた。しかし、2016年11月以降は、取引頭数の増減による変動を繰り返しながらも下落傾向で推移し、2017年6月には週間と畜頭数が前年を上回るなど頭数が回復してきたこともあり、40カ月ぶりに前年同月を下回るに至った。ただ、直近5カ年平均に比べるといまだかなり高い水準にある。

025b

ABARES、2017/18年度生産・輸出見通しをわずかに上方修正

豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2017年6月20日、「Agricultural Commodities」の中で、2017/18年度(7月〜翌6月)の牛肉需給見通しの見直しを行った(表2)。

026a

これによると、肉用牛飼養頭数を、前回の公表時(2017年3月)から100万頭上方修正し、2550万頭(前年比5.4%増)と見込んでいるものの、牛と畜頭数については、乾燥気候により他州に比べて牛群再構築が遅れているクイーンズランド州で、引き続き牛群再構築が進むとみられることから、前回から2万5000頭下方修正し、750万頭(前年度比2.8%増)と見込んでいる。一方、牛肉生産量については、1頭当たり枝肉重量の増加により、2万3000トン上方修正し、211万4000トン(同3.9%増)と見込んでいる。

牛肉輸出量については、牛肉生産量の増加に伴い、3万5000トン上方修正し、103万5000トン(同4.3%増)と見込んでいる。輸出先国別に見ると、好調な日本向けは、前回から3万トン上方修正し、28万5000トン(同2.9%増)と増加する一方、韓国向けは、米国との競合により前回から2万1000トン下方修正し、18万5000トン(同2.2%増)と見込まれている。

また、生体牛輸出頭数は、高い肉牛価格により輸出先国からの需要が伸び悩んでいることから、7万5000頭下方修正し、87万5000頭(同6.1%増)と見込んでいる。

肉牛取引価格については、取引頭数の増加に加え、輸出先国における米国や南米との競合により輸出価格の下落が見込まれることから、1キログラム当たり15豪セント(13円)下方修正し、同525豪セント(462円)と見込んでいる。

(調査情報部 大塚 健太郎)


				

元のページに戻る