需給動向 国内

◆牛 肉◆

子取り用雌牛飼養頭数は2年連続の増加


平成29年5月の牛肉需給を見ると、生産量は2万5418トン(前年同月比0.7%増)と3カ月連続で前年同月を上回った。品種別では、和牛が1万740トン(同1.1%減)、乳用種が7595トン(同3.8%減)と前年同月をやや下回ったものの、交雑種は酪農家での黒毛和種交配率の上昇により6763トン(同8.9%増)と11カ月連続で前年同月を上回った。

輸入量は冷蔵品が2万2583トン(同15.1%増)と前年同月をかなり大きく上回り、冷凍品も3万3781トン(同26.5%増)と前年同月を大幅に上回ったことから、全体では5万6446トン(同21.7%増)と増加に転じた。

推定出回り量は、前年同月を大幅に上回る7万9100トン(同19.2%増)となり、推定期末在庫は前月から2556トン積み増し、10万5338トン(同12.0%減)と17カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

大規模層における飼養頭数はやや増加

平成29年7月4日に農林水産省が公表した「畜産統計」によると、同年2月1日現在の肉用牛飼養戸数は、昭和32年の調査開始以降、60年連続での減少となる5万100戸(前年比3.5%減)となった。

飼養戸数を肉用牛飼養頭数規模別に見ると、10〜19頭および50〜99頭の階層では増加に転じたものの、それ以外の全ての階層で減少となった。中でも、5〜9頭の小規模層は前年から1300戸減(同11.2%減)と減少が目立った。減少要因としては、生産者の高齢化が進む中で後継者が不足していることなどが考えられる。

また、肉用牛飼養頭数は、平成22年以降、8年ぶりの増加となる249万9000頭(同0.8%増)となり、中でも肉用種は166万4000頭(同1.3%増)となった。一方、乳用種(交雑種を含む)は交雑種が子牛価格高騰を受け酪農家における乳用後継牛への黒毛和種交配率が上昇していたことから、52万1600頭(同3.2%増)と2年連続で増加したものの、ホルスタイン種他は31万3100頭(同5.6%減)と7年連続で減少したため、83万4700頭(同0.3%減)となった。飼養頭数を肉用牛飼養頭数規模別に見ると、50〜99頭規模の階層(同10.7%増)および200頭以上(同3.5%増)を除く全ての階層で減少しており、中でも、100〜199頭(同15.1%減)と5〜9頭の小規模階層(同10.7%減)は2桁減となった。

1戸当たり飼養頭数は、前年から2.1頭増加して49.9頭となり、引き続き生産の大規模化が進んでいることが見て取れる。なお、飼養戸数の4.5%を占める200頭以上の層が飼養する肉用牛の割合は、56.0%と前年から1.5ポイント増加した(図1、表1)。

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子取り用雌牛飼養頭数は60万頭目前までに増加

肉用種の子取り用雌牛の飼養頭数は、前年から8200頭増の59万7300頭(前年比1.4%増)と、2年連続で増加となった。地域別に見ると、中国地方を除く全ての地域で増加となり、特に近畿(1万9500頭(同3.7%増))は他の地域よりも増加率が高かった(表2)。これまで畜産クラスター事業をはじめ、さまざまな対策が講じられてきた中、子取り用雌牛飼養頭数が前年に続いて増加となったことで、今後の生産基盤の回復に一層の弾みがつくことが期待される。

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日EU・EPAの大枠合意に至る

平成29年7月6日、日EU・EPA交渉が大枠合意に至った。牛肉については、関税撤廃を回避し、セーフガード付きで関税を削減することとなった。現行の38.5%(豪州を除く)の関税は、協定発効時に27.5%まで引き下げられ、その後10年目に20%、16年目以降に9%となる見込みである。また、輸入急増時に発動するセーフガードは、初年度は4万3500トン、16年目に5万3195トンとなる見込みである。

(畜産需給部 山神 尭基)


				

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