需給動向 海外

◆米 国◆

生産量は増加も、内外の強い需要で価格は上昇


出荷の早期化により平均枝肉重量が減少

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2017年6月22日に公表した「Livestock Slaughter」によると、5月の牛と畜頭数は、前年同月比9.4%増の275万3000頭となった。1頭当たり平均枝肉重量は、食肉パッカーの需要に応えるための出荷の早期化などから、同2.7%減の358キログラムとなった。これらの結果、同月の生産量は、同6.5%増の98万1000トンとなった(図1)。また、1〜5月の生産量は、前年同期比5.0%増の472万8000トンとなった。

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2017年第2四半期(4〜6月)の生産量についてUSDAは、前年同期比2.7%増の288万3000トンと見込んでいる。また、2018年については、肥育牛頭数が増えるとの予測から、前年比3.4%増の1229万7000トンと見込んでいる。

肥育牛価格は上昇傾向

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2017年6月の肥育牛価格(速報値)は、食肉パッカーの需要の高まりにより、前年同月比5.9%高の100ポンド当たり130.25米ドル(1キログラム当たり324円:1米ドル=113円)と3カ月連続で前年同月を上回った。USDAは今後、夏場のバーベキュー需要が落ち着くと、食肉パッカーの収益性が低下することで、肥育牛価格を押し下げる要因になるとしている。

同月の牛肉卸売価格(速報値)は、国内のバーベキュー需要に加え、輸出が堅調なことにより、同12.7%高の同247.85米ドル(同617円)となった(図2)。また、同月の特徴としてUSDAは、バーベキュー需要により、チョイス級とセレクト級(注)の価格差が、同28.35米ドル(同71円)と前年より41.5%も開いていることを挙げている。

(注) 脂肪交雑と成熟度(肉色、きめ、締まり)によって決定される肉質等級は、上位から、プライム級、チョイス級、セレクト級、スタンダード級となっている。

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輸出量は大幅に前年を上回る

USDA/ERSによると、2017年1〜4月の牛肉輸出量は、前年同期比20.2%増の39万4000トンとなった(表1)。この要因についてUSDAは、国内の増産に伴い価格が安値で推移したことに加え、3月と4月は米ドルの為替相場が主要通貨に対して安値で推移したことを挙げている。

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輸出先国・地域別に見ると、最大の輸出先である日本向けが同36.8%増の11万9000トン、韓国向けが同22.8%増の6万2000トンと大幅に増加した。このほか、メキシコ向けは同10.6%増、カナダ向けは同15.4%増となった。

2017年第2四半期(4〜6月)についてUSDAは、今後も好調に推移するとの予測から、前年同期比14.3%増の32万2000トンと見込んでいる。

(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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