需給動向 海外 |
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日本向け輸出の好調を背景に2017年5月の輸出量は増加
2017年5月の鶏肉輸出量(調製品等を含む。)は、7万6341トン(前年同月比19.2%増)となった(図14)。
品目別に見ると、鶏肉調製品および冷凍鶏肉(カット品)は、日本向けが好調に推移していることから、それぞれ4万5989トン(同16.6%増)、1万8259トン(同31.9%増)と増加した。
タイのブロイラー加工輸出業者協会は、日本向け輸出が好調な要因として、米国など輸出競合国での鳥インフルエンザ(AI)の発生やブラジルの食肉不正問題を挙げ、タイ産鶏肉への期待感から、会員企業では事業拡大に向けた動きが続いているとしている。鶏肉販売事業などを行う食肉大手のGPFT(GPFT Public Company Limited)社は5月、日本向け輸出の増加などに対応するため、年内に鶏肉とソーセージの増産などに10億バーツ(34億円:1バーツ=3.4円)を投じることを発表した。同社は、1日当たりブロイラー供給羽数を現在の26万2000羽から、18年までに31万8000羽、20年までに38万4000羽に拡大するとしている。
また、日本以外では、12年ぶりに冷凍鶏肉の輸出が再開された韓国向けが16年12月以降、毎月増加しており、今後の動向が注目される。
2017年4月の鶏肉生産量は、堅調な輸出需要などを背景に前年同月を1%上回る15万5000トンとなった(図15)。5〜6月の鶏肉需給においては、5月上旬に学校の新学期が開始し、学校給食での鶏肉の使用が増加したことなどにより、一時的に需要が高まったが、生産は安定しており鶏肉が不足するようなことはなかった。
タイ商務省国内取引局が6月に発表した農産物国内市場価格予測では、鶏肉の生産に影響を与える懸念材料はなく、国内外の需要を満たせるだけの生産量が見込まれることから、鶏肉価格(卸売価格、小売価格)に大きな変動はないとしている。
タイ保健省疾病対策局は、カンボジア、ベトナム、マレーシアなどの近隣国ではAIの感染が確認されていることから、引き続き注意するよう6月にも促している。
なお、2009年2月の最終発生以降、国内でのAI発生は確認されておらず、タイ国境に近いマレーシア北部のクランタン州で2月に発生したAIも、ここ最近新たな感染が確認されていなかったため、7月1日に清浄化宣言が出された。
(調査情報部 青沼 悠平)