需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

平成29年2月の酪農家戸数は前年比3.5%減


平成29年5月の生乳生産量は、64万5243トン(前年同月比1.2%減)と9カ月連続で前年同月を下回った(図4)。内訳を見ると、北海道が33万9327トン(同1.3%減)、都府県が30万5916トン(同1.2%減)といずれも減少した。

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用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは34万6737トン(同1.0%減)と前年同月を下回り、乳製品向けも29万4276トン(同1.6%減)と11カ月連続で前年同月を下回る結果となった(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。

酪農家戸数は減少傾向が続く

平成29年7月4日に農林水産省が公表した「畜産統計」によると、同年2月1日現在の酪農家戸数は1万6400戸(前年比3.5%減)となった。また、乳用牛の飼養頭数は、経産牛の減少に加え乳用牛への黒毛和種の交配率が上昇していることもあり、132万3000頭(同1.6%減)と前年より2万2000頭減少した(表7)。飼養頭数を乳用牛飼養頭数規模別に見ると、20〜29頭規模の階層(同4.4%増)を除く全ての階層で減少しており、中でも1〜19頭の階層では(同10.7%減)と2桁減となった。これらを地域別に見ると、全ての地域で酪農家戸数および飼養頭数ともに減少しており、中でも近畿や四国地域では、酪農家戸数の減少率が約5%台と目立っている。 また、北海道の酪農家戸数は6310戸(前年比2.8%減)、飼養頭数は77万9400頭(同0.8%減)となった。酪農家戸数の減少率は、都府県(同3.8%減)よりは低いものの、依然、緩やかな減少傾向で推移している。飼養戸数を乳用牛飼養頭数規模別に見ると、80〜99頭の階層では増加に転じたものの、それ以外の全ての階層で減少した。中でも、1〜19頭の小規模層は前年から200戸減(同6.1%減)と減少が目立っており、減少要因としては、生産者の高齢化や後継者不足などが挙げられる。

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経産牛頭数はわずかに減少も雌牛の出生割合は増加

乳用牛飼養頭数の内訳を見ると、経産牛(搾乳牛と乾乳牛の合計)は85万2100頭(前年比2.2%減)、未経産牛も47万1000頭(同0.7%減)とともに減少した(図5)。一方、乳用牛の出生頭数(交雑種を除く)における雌牛頭数の割合は53.1%と前年から0.5ポイント増加しており、雌雄判別精液の利用が拡大していることが読み取れる。

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また、1戸当たり乳用牛飼養頭数は80.7頭となり、前年より1.6頭増加した。内訳を見ると、北海道は123.5頭(前年比2.4頭増)、都府県は53.8頭(同0.5頭増)と、ともに増加した(図6)。今後も生産の集約化が進むと見込まれることから、1戸当たりの飼養規模は緩やかな増加傾向で推移するとみられる。

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日EU・EPAの大枠合意に至る

平成29年7月6日、日EU・EPA交渉が大枠合意に至った。乳製品のうち国家貿易に係る内容については、バター・脱脂粉乳など注1は国家貿易を維持した上で、民間貿易によるEU枠を設定することとなった。EU枠については、初年度が生乳換算で1万2857トン、6年目に1万5000トンになる見込みである。また、ホエイについては、脱脂粉乳(たんぱく質含有量34%)と競合する可能性の高いホエイ(たんぱく質含有量25−45%)は、関税削減に留め、11年目以降もTPP注2における初年度の関税水準の3割を維持することとなった。業界関係者の多くが注目したチーズについては、ソフト系は、ナチュラルチーズなどを一括して関税割当に留め、主に原材料として使用される熟成ハード系やクリームチーズなどは関税撤廃するものの、長い撤廃期間を確保することとなった(段階的に16年目に撤廃)。

注1:全粉乳、バターミルクパウダー、加糖れん乳を含む。

 2:環太平洋経済連携協定(TPP)における初年度の関税水準は、25%、35%+40円。

 (畜産需給部 山神 尭基)


				

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