需給動向 海外 |
2016/17年度の輸出は、牛肉、生体牛ともに大幅に減少する見込み
10月後半以降のと畜頭数は回復傾向
豪州統計局(ABS)によると、2016年10月の成牛と畜頭数は、牛飼養頭数の減少と牛群再構築に伴う雌牛の保留により、57万87頭(前年同月比24.0%減)と大幅に減少した。と畜頭数の減少により、同月の牛肉生産量(子牛肉を除く)は、16万5800トン(同21.4%減)と16カ月連続で前年同月を下回った。
一方、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、主要生産州(注3)の週間と畜頭数は、6月以降減少傾向で推移し10月第2週には10万1391頭(前年同期比27.5%減)まで減少したものの、10月最終週には13万頭台まで回復し、12月第2週には13万7151頭(同9.3%減)と、前年同期比でマイナスではあるものの回復傾向にある(図4)。
(注3) クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、南オーストラリア州、タスマニア州。
肉牛取引価格、取引頭数の増加に伴い下落傾向
MLAによると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、10月前半までは取引頭数の減少により700豪セントを上回る過去最高水準で推移していたが、10月後半に下落に転じ、その後も市場に出回る牛の頭数が増加したことから、12月15日時点で同635豪セント(546円:1豪ドル=86円)と、依然として高水準ではあるものの、10月前半と比べて12%下落した(図5)。
2016年牛肉輸出量、日本が最大の輸出先となる見込み
豪州農業・水資源省(DAWR)によると、2016年11月の牛肉輸出量は、牛肉生産量の減少に伴い、8万6724トン(前年同月比7.6%減)となり、16カ月連続で前年同月を下回った(表1)。
また、2016年1〜11月の牛肉輸出量は、92万4704トン(前年同期比21.1%減)と大幅に減少した。主な輸出先国別に見ると、2014年および2015年に最大の輸出先国であった米国向けは、同国の牛肉生産量の増加に伴う需要の減少および豪州の牛肉生産量の減少により21万7635トン(同42.1%減)と大幅に減少した。日本向けについても24万204トン(同8.7%減)と減少したものの、米国の減少幅が大きいことから、2016年は日本が最大の輸出先になるとみられる。
2016/17年度の生体牛輸出頭数、大幅に下方修正
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2016年12月15日、「Agricultural Commodities」の中で、2016/17年度(7月〜翌6月)の牛肉需給に関する修正見通しを公表した(表2)。
牛と畜頭数は、前回の公表時(2016年9月)と同様に、牛群再構築による雌牛の保留により、779万頭(前年度比11.4%減)とかなり減少すると見込んでいるものの、牛群再構築の進展により3年ぶりに牛飼養頭数が増加する見込みであることを受け、前回からわずかに上方修正された。
牛肉輸出量は、米国の牛肉生産量の増加に伴う同国からの大幅な需要の減少と日本における米国産との競合により、99万トン(同15.2%減)と前回からわずかに下方修正され、5年ぶりに100万トンを切ると見込まれている。
生体牛輸出頭数は、86万5000頭(同22.4%減)と大幅に下方修正され、4年ぶりに100万頭を下回ると見込まれている。これは、最大の輸出先であるインドネシア向けが、9〜12月の輸入許可頭数の削減や肉用牛5頭につき繁殖用1頭の輸入義務付けという新たな規制が導入されたことにより、大幅に減少していることを反映している。
(調査情報部 大塚 健太郎)