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2016年は減産も、輸出は前年並み
キャトルサイクルにより減産
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2016年のブラジルの牛肉生産量は、キャトルサイクルによる減少期であったことから、前年比1.5%減の928万4000トン(枝肉重量ベース)と見込まれている(図6)。
同国のキャトルサイクルは、約7年周期で増減を繰り返すとされているが、2016年はその減少期の底にあたるとみられている。
輸出は中国向けが大幅増
ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2016年の冷蔵・冷凍牛肉輸出量は、前年比0.3%減の107万6041トン(製品重量ベース)となった(表3)。減産を記録した中、国内経済は2年連続のマイナス成長で牛肉消費が大きく減退した一方、輸出は特に上半期に為替相場がブラジルレアル安米ドル高で推移したため微減にとどまった。
中でも中国向けは、2015年6月の輸出再開以降、著しい伸びを記録している。7〜8月は価格交渉の不調により一時的に減少したものの、その後、旺盛な需要が回復しており、その存在感はより強まっている。
一方、2014年の最大輸出先で3割程度のシェアを有していたロシア向けは、同国のルーブル安に伴う購買力の低下を受け、大幅に落ち込んでいる。
2017年は生産、輸出とも増加を見込む
USDA/FASが9月8日に公表した「GAIN Report」によると、ブラジルの2017年の牛肉生産量は、キャトルサイクルが増加局面に入ることから前年比2.0%増の947万トン(枝肉重量換算)と見込まれている。国内消費は同1.0%増の756万トン(同)、輸出は同5.9%増の196万トン(同)と、いずれも増加が予測されている。
ただし、直近3年間において最大生産地である中西部を中心に乾季において干ばつが起きたため、牛群再構築が進んでいない地域が発生している。このため、2017年以降の牛肉生産が見込みどおり増加基調で推移するか注視する必要がある。
また、ブラジル中央銀行は12月26日、国内経済の回復ペースが遅れ2016年のGDP成長率が3.49%と当初の予想を下回るとの予測を発表し、2017年についても0.5%のプラス成長にとどまる見込みとした。このため、牛肉業界としては、国内需要の回復に期待できないとして、引き続き輸出に期待するところが大きくなっている。
(調査情報部 米元 健太)