需給動向 国内

◆牛 肉◆

27年度肥育牛生産費、もと牛価格上昇により全品種で増加


平成28年11月の牛肉需給を見ると、生産量は3万2619トン(前年同月比0.2%減)と前年同月をわずかに下回った。品種別では、和牛が1万5466トン(同3.7%減)、乳用種が9089トン(同0.3%減)と減少した一方、交雑種は酪農家における乳用種への黒毛和種交配率の上昇により、7683トン(同7.1%増)と5カ月連続で前年同月を上回った。

輸入量は、冷蔵品が2万1118トン(同15.0%増)、冷凍品が2万2523トン(同14.3%減)となり、合計で4万3680トン(同2.4%減)と前年同月をわずかに下回った。

推定出回り量は前年同月をわずかに上回る7万9307トン(同2.0%増)となり、推定期末在庫は前月から3193トンを取り崩し、11万3126トン(同19.4%減)と11カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

生産費増加も、販売価格上昇により所得は増加

農林水産省は、平成28年12月9日、「平成27年度 肉用牛生産費」を公表した。調査結果によると、肥育経営における肥育牛1頭当たり資本利子・地代全額算入生産費(「以下「全算入生産費」という)は、去勢若齢和牛が107万751円(前年度比8.0%増)、乳用雄が46万7265円(同1.7%増)、交雑種が75万2089円(同5.9%増)と全品種で増加した(表1、図1)。これにより、全品種ともに5年連続での増加となった。

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費目別では、全ての品種で飼料費が減少に転じたものの、もと牛価格の上昇により、生産費の3〜6割を占めるもと畜費が大きく増加したほか、去勢若齢和牛および乳用雄において労働費が増加した。

肥育牛の販売価格は、去勢若齢和牛が120万7278円(同18.7%高)、乳用雄が48万2717円(同23.1%高)、交雑種が82万3570円(同25.6%高)と全ての品種で前年度を大幅に上回った。全国的な出荷頭数の減少のほか、インバウンド需要の増大、好調な輸出需要などが牛枝肉卸売価格を下支えし、記録的な高値になったものとみられる。

この結果、粗収益から生産費を差し引いた所得は全品種でプラスとなった。

29年度牛肉安定基準価格、10円引き上げ900円に

平成28年12月16日に開催された「食料・農業・農村政策審議会畜産部会」において、畜産物価格等の算定について諮問・答申が行われ、29年度の畜産物価格等が決定した。牛肉の安定価格については、安定上位価格が現行1キログラム当たり1155円から1215円に、安定基準価格は現行同890円から900円と、それぞれ60円および10円引き上げられた(表2)。

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これは、もと畜費を中心とした推定生産費が過去7年間の平均に対して上昇する見込みとなったことによるものである。これにより、5年連続での引き上げとなった。

(畜産需給部 二又 志保)


				

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