需給動向 海外

◆米 国◆

牛肉輸出量はアジア向けが大幅に増加


牛肉生産量は前年を大幅に上回る

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が12月22日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2016年11月の牛と畜頭数は、前年同月比16.2%増の266万8000頭となった。この要因について現地業界紙では、牛肉パッカーの良好な収益性を反映して、と畜が進んだためとしている。

同月の牛肉生産量は、1頭当たり平均枝肉重量が同0.6%減の382キログラムと減少したものの、と畜頭数の大幅な増加により、同15.7%増の101万6000トンと前年同月を大幅に上回った(図1)。

また、同年第4四半期(10〜12月)の生産量見込みは、前年同期比7.2%増の297万1000トンと、前月の予測値から上方修正された。一方、2017年第2四半期の生産量は、前月予測から14万1000トン下方修正された。

牛肉卸売価格は依然安値で推移

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2016年12月の肥育もと牛価格(注1)(速報値)は、肥育もと牛生産頭数の増加により、前年同月比25.2%安の100ポンド当たり124.50米ドル(1キログラム当たり321円:1米ドル=117円)となり、2015年8月以来前年を下回って推移している。また、肥育牛価格(注2)(速報値)も、同18.2%安の同102.25米ドル(同264円)と前年を大幅に下回った。

また、同月の牛肉卸売価格(速報値)は、供給量の増加に伴い、同10.6%安の同185.50米ドル(同478円)となった(図2)。

(注1) オクラホマ市場ミディアム、去勢牛600〜650ポンド。

(注2) ネブラスカ州のチョイス級相対取引価格、去勢牛1100〜1300ポンド。

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牛肉輸出量は好調を維持

USDA/ERSによると、2016年10月の牛肉輸出量は、生産量の増加に加え、前年の輸出量減少の反動もあり、同16.9%増の10万4000トンと大幅に増加した(図3)。輸出先国別に見ると、メキシコは前年同月比12.1%減(1万5000トン)、カナダは同5.9%減(1万1000トン)と、米ドル高で推移したことから、前年同月を大きく下回った。一方、日本は同35.9%増(2万2000トン)、韓国は同66.0%増(1万9000トン)、台湾は同91.3%増(7000トン)と、米国産牛肉の安値により前年同月を大幅に上回った。USDAは特に日本の増加について、牛群の再構築が進む豪州やニュージーランドからの牛肉輸出が減少していることを要因として挙げている。

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また、同月の牛肉輸入量は、同4.9%減の10万2000トンとなった。この要因についてUSDAは、国内の牛肉生産量の増加に加え、国際的な牛肉需給のひっ迫を挙げている。輸入先国別に見ると、カナダは同27.8%増(3万2000トン)、メキシコは同58.3%増(2万3000トン)と米ドル高の為替相場を背景にそれぞれ大幅に前年を上回った。一方、豪州は同51.6%減(2万トン)、ニュージーランドは同9.0%減(1万2000トン)となった。

(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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