需給動向 国内 |
平成27年ブロイラー産出額、前年を上回る3416億円 |
平成28年11月の鶏肉需給を見ると、生産量は13万2199トン(前年同月比3.0%増)と前年同月をやや上回った。輸入量は5万1737トン(同32.6%増)と前年同月を大幅に上回り、2カ月連続の5万トン超えとなった。推定出回り量は18万7149トン(同12.0%増)となり、推定期末在庫は前月から3213トンを取り崩したものの、16万1771トン(同14.4%増)と依然として高い水準となった(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
都道府県別産出額1位は宮崎県
平成28年12月22日に農林水産省が公表した「農業産出額及び生産農業所得」によると、27年のブロイラー全国産出額は、3416億円と前年(3261億円)を155億円上回る結果となった。これは、近年の増産傾向や、底堅い需要を背景とした相場高などによるものと思われる。
都道府県別に見ると、上位5都道府県は、宮崎県(718億円)、鹿児島県(604億円)、岩手県(515億円)、青森県(210億円)、北海道(159億円)と前年の順位から変動はなく、宮崎県、鹿児島県、岩手県の上位3県で全体の約5割を占めた(図3)。
なお、同日に農林水産省が公表した「市町村別農業産出額(推計)」によると、26年のブロイラー産出額の上位5市町村は、鹿児島県大崎町(194億円)、岩手県二戸市(194億円)、宮崎県都城市(147億円)、宮崎県日向市(105億円)、鹿児島県垂水市(79億円)となっている。これらの地域の多くは、整備・開発された港湾に集約した飼料工場が近くにあるため、飼料の調達などに優位性があると考えられる。
また、総務省の「家計調査報告」によると、27年の1人当たりの地域別鶏肉購入数量は九州を筆頭に西日本で多い(図4)。鶏肉消費の旺盛な地域に近いことも宮崎県や鹿児島県でブロイラー産業が発展した要因のひとつと考えられる。
鳥インフルエンザの発生状況
農林水産省消費・安全局動物衛生課の発表によると、平成28年11月28日以降、全国各地で高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生が確認され、発生農場では飼養家きんの殺処分・埋却などの防疫措置が施された。
このうちブロイラー農場での発生は、29年1月18日現在まで、宮崎県川南町において1件確認されており、約12万羽が殺処分された。
農林水産省が7月に公表した「畜産統計」(28年2月1日現在)によると、ブロイラーの全国飼養羽数は1億3439万5000羽であり、現時点では鶏肉需給への影響は限定的と思われる。
(畜産需給部 河村 侑紀)