需給動向 海外 |
◆米 国◆
鶏肉輸出、数量は増加も、金額は減少 |
10月の鶏肉生産量は前年同月をわずかに下回る
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が12月22日に公表した「Poultry Slaughter」によると、2016年10月のブロイラー処理羽数は、前年同月比1.6%減の7億3155万羽となった。同月の1羽当たり処理時生体重は、同0.2%増の2.81キログラムと3カ月ぶりにわずかに前年を上回った。この結果、同月の鶏肉生産量は、同1.5%減の154万9000トンとなり、2カ月連続で前年同月を下回った(図10)。
また、2016年1〜10月の鶏肉生産量は、処理羽数と1羽当たり処理時生体重がともに前年同期比0.7%増となったことから、同1.4%増の1544万1000トンとなった。
11月の鶏肉卸売価格は2015年2月以来前年を上回る
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2016年11月の鶏肉(丸どり(中抜き))卸売価格は、1ポンド当たり80米セント(1キログラム当たり206円:1米ドル=117円)(速報値)と2015年2月以来前年同月を上回った(図11)。また、部位別では、手羽は、夏以降、需要の高まりにより上昇傾向で推移しており、同月は同189.4米セント(同489円)と前年同月を13.6%上回った(図12)。レッグクォータ(注4)は、同39.8%高の同33.0セント(85円)となり、2016年8月以降ほぼ横ばいで推移している。
業界紙によると、現在の鶏肉産業の収益性は、前年に比べて良い状況にあるものの、生産基盤を拡大するには十分ではないことに加え、安値で推移する牛肉との競合が懸念される。
(注4) ブロイラーを4分の1にカットしたもの。ドラムスティックと上ももに背肉の半分が付着したもの。
鶏肉輸出はアジアやキューバ向けが増加
USDA/ERSによると、2016年10月の鶏肉輸出量は、前年同月比8.1%増の25万7000トンとなった(図13)。また、同年1〜10月の合計では、特にアジア向けが増加し、前年同期比2.5%増の248万7000トンと前年をわずかに上回った(表4)。同期間の輸出量を輸出先国・地域別に見ると、最大の輸出先であるメキシコは53万1000トン(前年同期比4.7%減)、次いで多いカナダは13万6000トン(同11.1%減)、台湾は13万2000トン(同12.5%減)となったものの、キューバは13万6000トン(同52.9%増)、香港は12万5000トン(同11.5%増)、フィリピンは8万1000トン(同34.5%増)とそれぞれ増加した。
一方、米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2016年1〜10月の鶏肉輸出額は、鶏肉価格が安値で推移したことにより、前年同期比8.3%減の23億7212万8000米ドル(2775億4000万円)となった。
(調査情報部 渡邊 陽介)
元のページに戻る