需給動向 国内 |
平成28年12月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり245円(前年同月比10円安)となった。この結果、28年の平均価格は同205円となり、前年を23円下回った(図7)。
28年の推移を見ると、夏場までは軟調な相場が続き、これは、生産量が増加傾向にあったことや、気温が平年より高かったことなどにより需要が低下したためと考えられる。しかし、秋以降、台風などの影響により、一部産地で生産量の減少が見られたことに加え、気温が平年並みで推移したことから、おでんなどの季節需要が高まり、相場は年末まで上昇傾向で推移した。
年明け後、供給面では、例年通り年末年始の滞貨玉の発生により、一時的に供給過多となった結果、29年初値は1キログラム当たり165円と前年終値から80円安となった。需要面では、おでんやすき焼きなどの季節需要が引き続き高く、恵方巻きなどのイベント需要も高まると見込まれることから、例年通りならば、滞貨玉解消後の相場は強含みで推移すると考えられる。
補塡基準価格、安定基準価格が決定
平成28年12月16日、農林水産省は「平成29年度鶏卵生産者経営安定対策事業」のうち、「鶏卵価格差補塡事業」に係る補塡基準価格および「成鶏更新・空舎延長事業」の発動基準となる安定基準価格を決定した。補塡基準価格は現行1キログラム当たり189円から同187円と2円引き下げられ、安定基準価格は現行同169円から同165円と4円引き下げられた(表5)。引き下げられた要因は、飼料価格の値下がりなどとしている。
鳥インフルエンザの発生状況
農林水産省消費・安全局動物衛生課の発表によると、平成28年11月28日以降、全国各地で高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生が確認され、発生農場では飼養家きんの殺処分・埋却などの防疫措置が施された。
このうち採卵鶏農場での発生は、29年1月18日現在まで、新潟県関川村、新潟県上越市、北海道清水町、宮崎県玉名郡南関町、岐阜県山県市において確認されており、遺伝子解析の結果、いずれも韓国で流行している鳥インフルエンザと同じH5N6亜型と判明し、合計約100万羽が殺処分された。
農林水産省が7月に公表した「畜産統計」(28年2月1日現在)によると、採卵鶏の全国飼養羽数は1億7334万9000羽であり、現時点では殺処分による鶏卵需給への影響は小さいと考えられる。
(畜産需給部 河村 侑紀)