需給動向 海外 |
南米産の牛肉輸入量が増加
国内供給不足を背景に引き続き輸入は堅調
輸入牛肉の大半を占める冷凍牛肉の2016年1〜10月までの輸入量は前年同期比30.9%増の47万トンとなり、前年実績を大きく超える伸びを示している(表2)。供給国別に見ると、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチンなどの南米諸国からの輸入が増えている。特に、2015年5月に解禁されたブラジルは同416.5%増と急増し、同期間の輸入シェアは最大となっているが、2015年9月以降、1万トンを下回らなかった月毎の輸入量が、9〜10月には月6000トン程度まで減速している。一方、豪州産はと畜頭数の減少から同27.7%減、カナダ産も他国に比べ価格優位性が低く、同25.1%減となっている。
冷蔵牛肉は近年、豪州産が少量輸入されるのみであり、同期間の輸入実績は、同15.1%増の5600トンとなっている。
このほか、豪州から生体牛のと場直行牛が一定量輸入されている。特に宣伝効果も狙った地元報道がなされており、国家質検総局の認可を受けて生体牛の輸入が行われた空港が2件(重慶市、河南省)、港が1件(山東省にある栄成石島新港)報道されており、特に港は初のケースとされる。
2003年のBSE(牛海綿状脳症)発生以前の2002年には、輸入の大半を占める8400トンの冷凍牛肉を輸入していた米国は、BSE以後長らく禁輸が解かれていないが、2016年9月22日、中国当局により条件付きで輸入解禁されると発表された。ただし、中国側が提示する付帯条件を満たすことが確認されるまでには一定の時間が必要と考えられ、今のところ輸入再開の目途は立っていない。
価格は前年並みの高値安定で推移
牛肉の国内取引価格は、2014年以降、高価格帯で安定的に推移している(図8)。
もも肉の小売価格は4月以降、1キログラム当たり67元程度で安定的に推移しており、今後需要期である年明けの春節に向けて例年通り価格の上昇が見られると思われる。
(調査情報部 木田 秀一郎)