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◆米 国◆
フィードロット飼養頭数減も、牛肉生産量は増加見込み
フィードロット飼養頭数は9カ月ぶりに前年同月を下回る
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が11月18日に公表した「Cattle on Feed」によると、2016年10月のフィードロット導入頭数は、前年同月比5.0%減の217万1000頭と2カ月連続で前年同月を下回った。この要因について、業界紙では、フィードロットの収益性の低下による導入意欲の減退や良好な草地の状態による繁殖農家の保留傾向などを挙げている。
一方、同月のフィードロット出荷頭数は、同4.6%増の170万5000頭と前年同月を上回った。この結果、11月1日時点のフィードロット飼養頭数は、同1.3%減の1066万5000頭と9カ月ぶりに前年同月を下回った(図1)。
牛肉生産量は堅調に推移
USDA/NASSが11月23日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2016年10月のと畜頭数は、前年同月比4.8%増の263万6000頭となった。一方、1頭当たり枝肉重量(連邦政府検査ベース)は、同0.9%減の382キログラムとなった。同月の牛枝肉生産量は、と畜頭数の増加に伴い、同3.9%増の100万2000トンとなった(図2)。
USDAは、2016年第4四半期(10〜12月)の生産量を前年同期比5.8%増の293万2000トンとしており、2017年以降も前年を上回って推移すると見込んでいる。
冷凍牛肉在庫量は過去最高
USDA/NASSが11月22日に公表した「Cold Storage」によると、2016年10月末時点の冷凍牛肉在庫量は、前年同月比4.6%増の24万1000トンと、牛肉生産量の増加により過去最高を記録した(図3)。
牛肉卸売価格は牛肉供給量の増加で前年同月を下回って推移
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2016年11月の肥育もと牛価格(注1)(速報値)は、前年同月比32.7%安の100ポンド当たり124.5米ドル(1キログラム当たり310円:1米ドル=113円)と、肥育もと牛の供給余力の高まりにより、16カ月連続で前年同月を下回って推移している。肥育牛価格(注2)(速報値)も、同19.4%安の同102.25米ドル(同255円)と低下している。2016年第4四半期(10〜12月)の肥育牛価格についてUSDAは、11月のフィードロット飼養頭数が減少したものの、同102~106米ドルと見込んでいる。
また、同月の牛肉卸売価格(速報値)は、前年同月比11.9%安の100ポンド当たり185.5米ドル(1キログラム当たり462円)となり、牛肉供給量の増加により2015年7月以降前年同月を下回って推移している(図4)。また、10月の牛肉小売価格(速報値)は、同7.9%安の1ポンド当たり573.7米セント(1キログラム当たり1429円)となった。
注1:オクラホマ市場ミディアム、去勢600〜650ポンド。
2:ネブラスカ州のチョイス級相対取引価格、去勢1100〜1300ポンド。
(調査情報部 渡邊 陽介)