需給動向 国内

◆鶏 肉◆

鶏肉輸入量、5万トン超えの高水準


平成28年10月の鶏肉需給を見ると、生産量は13万1781トン(前年同月比2.2%減)と9カ月ぶりに前年同月を下回った。輸入量は5万89トン(同12.5%減)と前年同月をかなり大きく下回ったものの、12カ月ぶりの5万トン超えとなった。推定出回り量は18万2000トン(同0.2%減)となり、推定期末在庫は前月から130トンを取り崩したものの、16万4984トン(同16.9%増)と依然として高い水準となった(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

タイ産シェアが微増

10月の鶏肉輸入量を国別に見ると、ブラジル産は3万6620トン(前年同月比16.1%減)と前年同月を大幅に下回り、全輸入量に占める割合は73%(同3ポイント減)となった。一方、タイ産は1万1399トン(同13.3%増)と3カ月連続で1万トンを超え、全輸入量に占める割合は23%(同5ポイント増)となった(図5)。

タイ産の輸入量は、25年12月の輸入再開以降、増加傾向で推移している。同国の高度な加工技術が業務筋から高い評価を得ているため、輸入停止前の水準(注)に戻りつつあり、今後も一定程度のシェアを占めるものと考えられる。

(注) 輸入停止前の平成15年のタイ産輸入量は17万5172トン(月平均は1万4597トン)。

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また、10月の鶏肉調製品(加熱処理された唐揚げ、焼き鳥、チキンナゲットなど)の輸入量は、3万5501トン(同8.9%減)と3カ月ぶりに前年同月を下回った。国別に見ると、タイ産は2万1631トン(同8.2%減)と22カ月ぶりに前年同月を下回り、全輸入量に占める割合は61%(同1ポイント増)となった。中国産は1万3493トン(同11.3%減)と4カ月連続で前年同月を下回り、全輸入量に占める割合は38%(同1ポイント減)となった(図6)。

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鶏肉調製品の輸入量は、26年7月の中国産消費期限切れ鶏肉問題の発生以降、中国産からタイ産への移行は進んでいるものの、発生から年月が経過し、緩やかとなっている。

鳥インフルエンザの発生状況

農林水産省消費・安全局動物衛生課の発表によると、平成28年11月28日以降、青森県や新潟県で高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が確認され、発生農場では飼養家きんの殺処分・埋却などの防疫措置が施された。

このうち採卵鶏農場では、新潟県において約55万羽が殺処分されたが、ブロイラー(肉用若鶏)農場では、12月16日時点において、発生が確認されていない。国内の鶏肉生産量のうち、廃鶏(採卵鶏または種鶏を廃用にした鶏)の占める割合は1割弱と少ないことから、現時点では鶏肉需給への影響はかなり小さいと思われる。

しかし、全国各地で野鳥の鳥インフルエンザが確認されていることや、青森県がブロイラーの主産地であることなど、不安要素はあり、鳥インフルエンザの今後の動向に注視していく必要がある。

(畜産需給部 河村 侑紀)


				

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