需給動向 国内

◆鶏 卵◆

鶏卵相場、最需要期に向けて上昇基調続く


平成28年11月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり231円(前年同月比21円安)と9カ月連続で前年同月を下回った(図9)。

016a

夏場までの軟調な相場は、前年の相場高を受けて生産者の増産意欲が高まり、生産量が増加傾向にある一方で、気温が平年より高かったことなどが需要に影響したことによるものと考えられる。しかし、9月以降、台風などの影響で一部産地で生産量の減少が見られたことに加え、学校給食の再開や大手ファストフードチェーンの鶏卵を使用した商品展開などによる需要の回復もあり、鶏卵相場は上げ基調で推移した。11月は、季節的に卵重が安定し、生産量増加による供給増の一方で、平年並みの寒冷な気候となり、おでんなどの季節需要が高まったため、相場は引き続き上昇傾向で推移した。

今後、供給面では、例年通り、最需要期に合わせて生産量はピークに達すると見込まれる。需要面では、クリスマスや年末商戦の盛り上がりに加え、一段と寒さが厳しくなり、おでんやすき焼きなどの季節需要がさらに高まると見込まれることから、鶏卵相場は堅調に推移していくものとみられる。

鳥インフルエンザの発生状況

農林水産省消費・安全局動物衛生課の発表によると、平成28年11月28日以降、青森県や新潟県で高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が確認され、発生農場では飼養家きんの殺処分・埋却などの防疫措置が施された。

このうち採卵鶏農場では、新潟県関川村(11月28日)および新潟県上越市(11月30日)において、遺伝子解析の結果、いずれも韓国で流行している鳥インフルエンザと同じH5N6亜型と判明し、それぞれ約31万羽、約24万羽が殺処分された。

農林水産省が7月に公表した「畜産統計」(28年2月1日現在)によると、採卵鶏の全国飼養羽数は1億7334万9000羽であり、今回の殺処分による鶏卵需給への影響は限定的と考えられる。

(畜産需給部 河村 侑紀)


				

元のページに戻る