需給動向 海外 |
10月の生乳生産量、1割程度減
10月の生乳生産量、主産地では2割近い減も
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2016年10月の生乳生産量は96万8300キロリットル(99万7300トン相当、前年同月比11.4%減)と、13カ月連続で前年同月を下回った(図23)。この結果、2016/17年度(7月〜翌6月)の10月までの累計生乳生産量は319万2500キロリットル(328万8300トン相当、前年同期比10.3%減)となった。
州ごとの内訳を見ると、クイーンズランド州以外の全ての州で前年同月を下回っており、中でも主産地のビクトリア(VIC)州は同13.4%とかなり大きく減少している。これは、生産者支払乳価低迷による酪農家の離農や増産意欲の低下と、春先(8〜9月)の多雨による牧草生育環境の悪化によるものとみられる。中でも9月の多雨による洪水被害の大きかったVIC州北部地域では、同20.2%減と大幅な減少を記録している。
DAは、牧草生産の見通しについて、全体的に収穫の時期が遅れることに加え、水分含量が多いため、栄養価が低下する可能性があると懸念している。
9月乳製品輸出、全粉乳の伸びが縮小
DAが公表した2016年9月の主な乳製品の輸出量は、以下の通りとなった(表5、図24)。
主要4品目のうち、7月、8月と大幅な伸びを記録した全粉乳は、バングラデシュやベトナム向けの増加によるわずかな増加にとどまった。また、バターは米国向けの増加により、前年同月を大幅に上回った。
一方、脱脂粉乳は、前月に続き、インドネシア向けやフィリピン向けが、ニュージーランド産との競合で前年同月から半減したことで前年同月を大幅に下回った。チーズは、韓国向けや中国向けが堅調な需要に支えられてそれぞれ増加したものの、最大の輸出先である日本向けがEU産との競合で前年同月比2割近く減少したことを受け、前年同月を下回った。
豪州酪農乳業界の課題について、調査の方針を発表
豪州自由競争・消費者委員会(Australian Competition & Consumer Commission、以下「ACCC」という)は11月8日、豪州の酪農乳業界が抱える課題に関する調査について、調査の観点や今後のスケジュールなどの方針を発表した。
ACCCはこの中で、2015/16年度末にMG社や豪州フォンテラ社が生産者支払乳価を一斉に引き下げた経営判断や、1リットル1豪ドルで販売されている低価格PB牛乳の価格設定の妥当性については既に調査を進めているとしており、今後は、乳業メーカーと生産者間の生乳取引や乳価の設定方法、プライベートブランド牛乳の単価の妥当性など、酪農乳業界の幅広い商習慣に、競争原理が十分に働いているかについて、調査していきたいとしている。
今後のスケジュールについては、2016年末までコメントを募集し、2017年3月から5月にかけてヒアリング調査などを行った後、同年11月末を目途に、提言などを盛り込んだ最終的な報告書を発表するとしている。
(調査情報部 竹谷 亮佑)