需給動向 海外

◆米 国◆

バター在庫は2カ月連続で大幅に減少


乳用経産牛頭数は、なお前年を上回る

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2016年11月18日に公表した「Milk Production」によると、2016年10月の乳用経産牛の飼養頭数は、933万5000頭と9月に続き2カ月連続で減少したものの、前年同月を0.2%上回った(図18)。この要因として、牛肉価格の低下に伴い、生産者が経産牛の淘汰に消極的になっていることや、性判別精液の利用を増やしていることが挙げられる。

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一方、同月の1頭当たり生乳生産量は853キログラム(同2.3%増)となり、2015年11月以降12カ月連続で前年同月を上回った。こうしたことから、同月の生乳生産量は前年同月比2.5%増の796万539トンとなり、2014年1月以降34カ月連続で前年同月を上回った。

在庫量減少から、バター価格は上昇

USDA/NASSが11月22日に公表した「Cold Storage」によると、2016年10月のバターの期末在庫は10万3304トン(前年同月比27.4%増)となり、前月を15.4%、重量にして4137万8000ポンド(1万8769トン)下回った。この取り崩しは、過去5年の同月における平均の約1.5倍に相当する量である。また、4000万ポンド(1万8144トン)を超える取り崩しは、前月に続き2カ月連続となった。需要は年末にかけて継続するとみられ、業界紙は11、12月もこのペースで取り崩された場合、2016年末の在庫量は前年とほぼ同水準になるとしている(図19)。

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在庫量の減少によりバター価格は反騰し、2016年11月時点のバター価格は1ポンド当たり199米セント(1キログラム当たり496円:1米ドル=113円)と、前年同月を30.9%下回るものの、前月を9.1%上回った。

バターと脱脂粉乳の輸出量は前年同月比増

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2016年9月の乳製品の輸出量は、チーズは2万2000トン(前年同月比0.7%減)と前年をわずかに下回ったものの、バターは1400トン(同243.5%増)と2014年4月以来29カ月ぶりに前年同月を上回り、脱脂粉乳は5万トン(同5.6%増)と3カ月連続で前年同月を上回った(図20)。この要因としては、主要生乳生産地域であるオセアニアおよびEUにおいて生産量が減少し、需給が引き締まったことに伴い国際価格が上昇に転じたことを受け、米国産の輸出競争力が高まったことが挙げられる。

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(調査情報部 野田 圭介)


				

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