需給動向 海外 |
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輸出の勢いが弱まり、価格は高水準ながらやや下落
生産量は前年を上回る
欧州委員会によると、2016年9月の豚枝肉生産量(EU28カ国)は、前年同月比0.6%増の193万トンとなった(図13)。EU最大の生産国であるドイツが同3.1%減、第2位のスペインが同2.2%増となる中、主要生産国の一つであるデンマークが同25.7%増と大幅な増加となった。
2016年1〜9月のEU全体の累計で見ると、前年同期比1.5%増と前年をわずかに上回っている。
輸出の勢いが弱まる
欧州委員会によると、2016年9月の豚肉輸出量(EU28カ国)は、前年同月比5.8%増の17.6万トンとなった(図14)。16カ月連続で前年同月を上回ったものの、同25〜100%増で推移していた1〜8月に比べ、増加幅は縮小した。要因として、中国の需要が減ったこと、安価な米国産やブラジル産の豚肉がより多く輸出市場に出回るようになったことなどが挙げられている。
国別で見ると、EUの2大輸出国であるスペイン(同20.1%増)、ドイツ(同14.3%増)が大きく増加した一方で、第3位のデンマークは同11.6%減とかなり大きく減少した。
豚価は半年ぶりに下落
そのような中、欧州委員会によると、2016年10月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前年同月比11.4%高の100キログラム当たり158.14ユーロ(1万9451円:1ユーロ=123円)となった(図15)。
同価格は、アジア向けを中心とした輸出量の増加に支えられ、2016年5月以降一気に上昇していたが、中国の需要減などにより輸出の勢いが弱まったことなどから、前月から4.5%安となったが、高水準を保っている。
(調査情報部 大内田 一弘)