需給動向 国内

◆豚 肉◆

豚肉の家計消費、購入数量の増加続く



平成28年10月の豚肉需給を見ると、生産量は、7万4439トン(前年同月比5.8%減)と前年同月をやや下回った。輸入量は冷蔵品、冷凍品ともに3カ月ぶりに前年同月を下回り、6万9796トン(同7.9%減)となった。このうちテーブルミートとして消費されることの多い冷蔵品は、北米からの輸入量が減少し、2万8571トン(同9.5%減)と前年同月をかなりの程度下回った。また、主にハム、ソーセージなどの加工原料用として使用される冷凍品は、デンマークやスペインなどのEU産が減少したことにより4万1222トン(同6.8%減)と前年同月をかなりの程度下回った。推定出回り量は前年同月をかなりの程度下回る14万9881トン(同6.6%減)となり、推定期末在庫は前月から5694トン取り崩し、16万3686トン(同0.2%減)と、前年同月並みとなった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

10月のと畜頭数、前年より4.9%減少

豚のと畜頭数は、例年6月ごろから夏場にかけて低い水準で推移した後、9月ごろから徐々に増え始め、最需要期の12月に最も多くなるという傾向を示す(図3)。平成28年10月のと畜頭数は、137万2144頭と前年同月を約7万頭下回った。これは、前年と比較してと畜場稼動日数が1日少なかったことが影響しているとみられる。なお、11月(速報値)は、前年同月を上回っており、最需要期に向けてと畜頭数は増加傾向にある。また、農林水産省が公表している肉豚生産出荷予測によると、28年12月および29年1月の全国出荷予測頭数は前年を上回り、生産量も前年より増加すると見込まれている。

010a

豚肉購入数量、19カ月連続で前年同月を下回る

総務省の「家計調査報告」によると、平成28年10月の全国一人当たりの豚肉購入数量は、19カ月連続で前年同月を上回る604グラム(前年同月比3.2%増)と好調に推移している。一方、購入金額は、846円(同1.0%安)と過去5カ年において最高となった27年の相場高の反動で、購入単価が前年を下回ったため、5カ月連続で前年同月を下回った(図4)。牛肉の小売価格上昇に伴い、価格優位性のある豚肉に需要がシフトしていることに加え、国産豚肉の生産量および冷蔵品豚肉輸入量の増加に伴う特売回数の増加などが購入数量の増加に影響しているものと考えられる。

なお、当機構が行っている食肉の販売動向調査結果(注)では、小売業者の28年度下半期の豚肉販売見通しとして、前年度と比較して増加するという回答が多く挙げられ、需要も引き続き好調に推移すると見込まれる。しかし、消費者の節約志向を背景に仕入価格が低下している輸入品の取扱量を増やすとの回答もあり、今後の輸入の動向が注視される。

(注) 「食肉の販売動向調査」とは、当機構が年に2回実施している卸売業者および小売業者を対象とした食肉の取り扱いや販売見通しに関するアンケート調査。なお、本アンケート調査の全文は当機構ホームページに掲載している。(https://www.alic.go.jp/r-nyugyo/raku02_000060.html)

011a

(畜産需給部 小林 智也)


				

元のページに戻る