需給動向 海外 |
◆米 国◆
豚肉供給量の増加により輸出も好調
豚肉生産量は堅調に推移
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2016年11月23日に公表した「Livestock Slaughter」によると、11月の豚と畜頭数は、豚飼養頭数の増加に伴い、前年同月比1.9%増の1044万5000頭となった。同月の1頭当たり平均枝肉重量は、同0.4%減の95.8キログラムとほぼ前年並みとなった。これらの結果、同月の豚肉生産量は、同1.3%増の99万7000トンと3カ月連続で前年同月を上回った(図9)。
2016年第4四半期(10〜12月)の豚肉生産量についてUSDAは、と畜頭数が今後も前年同月を上回って推移することから、前年同期比3.1%増の301万9000トンと見込んでいる。
肥育豚価格の下落により生産者の収益性が低下
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2016年11月の肥育豚価格は、出荷頭数の増加により前年同月比17.9%安の100ポンド当たり34.5米ドル(1キログラム当たり86円:1米ドル=113円)と、2003年1月以来の34米ドル台となった(図10)。また、2016年第4四半期の肥育豚価格についてUSDAは、前年同期比で約22%安となる同34~36米ドルと見込んでおり、生産者にとって好ましい価格水準ではないとしている。
また、同月の豚肉卸売価格は、豚肉生産量の増加を受けて、前年同月比0.7%安の100ポンド当たり73.75米ドル(1キログラム当たり184円)となった(図11)。USDAは、肥育豚価格の下落に比べ、豚肉価格の下落が限定的であるとして、食肉パッカーのマージンが拡大しているとみている。
豚肉価格の低下が輸出を後押し
USDA/ERSによると、2016年第3四半期(7〜9月)の豚肉輸出量は、前年同期比5.3%増の56万トンとなった(図12)。輸出先国別に見ると、カナダ向けは同0.2%減(6万3000トン)と前年並みとなったものの、メキシコ向けは同3.0%増(18万1000トン)、日本向けは同3.1%増(13万8000トン)、韓国向けは同8.9%増(3万トン)となり、中国向けは同36.2%増(4万8000トン)と大幅に増加した。USDAは、米国産豚肉が安値で推移しているため、特にアジア市場においてEU産豚肉に対する競争力が高まっているとしている。
第4四半期の豚肉輸出量についてUSDAは、同9.9%増の63万5000トンと見込んでいる。
(調査情報部 渡邊 陽介)