話 題 畜産の情報 2017年1月号

新年のごあいさつ

独立行政法人農畜産業振興機構 理事長 宮坂 亘


謹んで新年のごあいさつを申し上げます。

alicの業務につきまして、旧年中は皆さまのご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。

昨年は、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックが開催され、多くのアスリートたちが活躍するなど明るい話題がありました。一方で、熊本地震や台風・長雨などにより、多くの方が被災されたのみならず、農作物、家畜、農畜産業関連施設にも多大な被害が発生しました。被害に遭われた皆さまに、心からお見舞い申し上げます。

alicでは被災した畜産農家の経営継続を図るため、肉用牛肥育経営安定特別対策事業(牛マルキン)および養豚経営安定対策事業(豚マルキン)の生産者積立金の納付免除のほか、損壊した畜舎・飼養管理機械の補改修や家畜導入の支援などの関連対策を実施しました。熊本地震においては、加糖れん乳の製造工場が一時操業を停止したことから、緊急に加糖れん乳を輸入し不足が生じないようにしました。

さて、この1年を振り返りますと、畜産・酪農については、農家戸数・飼養頭数は近年、ともに減少しており、肉用牛生産では子牛価格の高騰が続いていますが、畜産業振興事業による繁殖雌牛の増頭への支援など、関係者が一丸となって対策に取組んだところ、全国の肉用牛の子取り用めす牛の飼養頭数(平成28年2月時点)は6年ぶりに増加しました。

また、26年の秋から冬にかけて、一部のスーパーマーケットなどの小売店でバターが品薄となりましたが、昨年末のバター需要期においては、昨年上半期の国産バターの生産が回復したことや、alicによる追加輸入などにより、バター在庫量は最近5年間で最高水準に達したことなどから、バター不足の声は聞かれないようになりました。

さらに、農林水産物・食品の輸出額1兆円の目標達成が2020年から2019年に前倒しされる中、牛肉の輸出は26年度の89億円(1363トン)から27年度には110億円(1582トン)へと順調に伸びています。

政策面では、昨年11月に改訂された「農林水産業・地域の活力創造プラン」において、農業者の所得向上を図るため、肥料などの生産資材価格形成の仕組みの見直しのほか、牛乳・乳製品の生産流通改革として、指定された農協に委託販売する生産者のみに国が財政支援を行うという現行の方式を見直すことが盛り込まれました。

また、平成29年度から加工原料乳生産者補給金制度が見直され、生クリームなどの液状乳製品向けを補給金の対象に加えた上で、補給金単価および交付対象数量をバター・脱脂粉乳などやチーズ向けといった加工原料乳全体で一本化することとしています。

さらに、12月には、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が国会で承認されるとともに、いわゆるTPP関連法が成立し、牛マルキンおよび豚マルキンが法制化されました。alicもこの動きに合わせて事業の実施準備を進めてまいりました。

本年も、これらの諸施策をはじめとして、種々の状況変化に対応して、ダイナミックに農政が展開されるものと考えております。

alicは、国の重要な施策を担う機関として、これまでもその時代に求められた役割を果たすべく、さまざまな事業を機動的かつ効率的に実施するよう努めてまいりました。国の新たな政策についても、現場に近い組織として、これまでのノウハウを生かして的確に対応し、alicの役割を確実に果たしていきたいと考えておりますので、引き続き、皆さまのご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

本年が皆さまにとって希望に満ちた明るい年となりますことをご祈念申し上げ、新年のごあいさつと致します。


				

元のページに戻る