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フィードロット飼養頭数、100万頭を突破
豪州統計局(ABS)によると、2017年3月の成牛と畜頭数は、牛飼養頭数の減少と牛群再構築に伴う雌牛の保留により、63万6200頭(前年同月比3.0%減)と引き続き減少したものの、昨年3月のと畜頭数がイースター休暇に伴い例年に比べて少なかったことから、減少幅は縮小した(図5)。
この結果、同月の牛肉生産量は、18万7461トン(同1.7%減)と21カ月連続で前年同月を下回った。州別にみると、クイーンズランド州は、9万4459トン(同4.0%増)と主要生産地域では唯一前年同月を上回った。
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、5月31日時点で1キログラム当たり650豪セント(553円:1豪ドル=85円)と、4月末時点からわずかに下落した(図6)。同価格は、市場に出回る牛の頭数と牧草の生育環境に影響を受けやすく、昨年10月には同700豪セントを上回って推移したものの、取引頭数の増加に伴い下落傾向で推移し、3月中旬には同609豪セントまで下落した。しかし、4月中旬には取引頭数の減少や3月の良好な降雨を受けて再度上昇に転じ、その後は変動を繰り返しながら、650豪セント前後で推移している。近年は、6月以降に取引頭数が減少し、それに伴い同価格が上昇していることから、6月以降の動向が注目される。
豪州フィードロット協会(ALFA)とMLAが共同で調査し、四半期ごとに発表しているフィードロットに関する調査結果によると、2017年3月末のフィードロット飼養頭数は、101万6475頭(前年同月比11.1%増)とかなり増加し、初めて100万頭を突破した(図7)。ALFAは、穀物価格の低下により、もと牛導入コストの上昇を一定程度相殺できていることに加え、今後も穀物価格が安値で推移すると見込まれるため、限られた頭数の中でより安定した増体と品質で牛肉を生産できるフィードロットに対する需要が増加しているためとしている。
また、2017年1〜3月の穀物肥育牛のと畜頭数は、69万8199頭(前年同期比10.5%増)とかなり増加した。これにより、と畜頭数全体に占める穀物肥育牛の割合は41.7%と前年同期から7.1ポイント増加し、過去最高を記録した。
(調査情報部 大塚 健太郎)