需給動向 海外

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2016/17年度牛肉生産・輸出量、乳牛淘汰の減などにより減少見込


肉用牛飼養頭数、繁殖雌牛の減少に伴い減

ニュージーランド統計局は5月10日、2016年6月末時点の肉用牛飼養頭数(確定値)を公表した。これによると、南島では102万4240頭(前年比0.1%増)とわずかに増加したものの、肉用牛飼養頭数の7割を占める北島では、250万8814頭(同0.6%減)とわずかに減少し、全体では353万3054頭(同0.4%減)となった(図8)。

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また、肉用牛繁殖雌牛は95万4000頭と、肉用牛飼養頭数全体の減少率を上回る前年比2.9%減となった。

ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)は、同月時点の肉用牛飼養頭数を、2016年9月の公表において前年比2.8%増の364万頭と10年ぶりの増加を見込んでいた。この見込みよりも少なくなった要因は、北島、南島ともに2015年から2016年にかけて乾燥気候で推移したことおよび肉用牛の取引価格の上昇により、肉用牛繁殖雌牛の淘汰が進み、子牛出生頭数も減少したことなどとみられる。

BLNZは、こうした状況を反映し、肉用牛経営の中には、酪農経営からの肥育もと牛の導入を増やし、肥育に専念するケースも出てきているとしている。

乳牛の淘汰が減少し、牛肉生産量は減少

ニュージーランド統計局によると、2016/17年度(10月〜翌9月)の3月までの牛と畜頭数は、経産牛が33万5973頭(前年同期比25.6%減)と乳牛の淘汰の抑制から大幅に減少したことで、118万3003頭(同10.5%減)とかなり減少した(図9)。

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しかし、牛肉生産量(枝肉重量ベース)は、比較的重量の軽い雌牛の減少が中心となったため、33万7668トン(同6.8%減)にとどまった。

BLNZが5月9日に公表した「Mid-Season Update 2016-17」によると、2016/17年度の輸出向け牛と畜頭数(と畜頭数全体の95%程度)は、去勢牛と雄牛はわずかに増加するものの、引き続き酪農家が乳牛の保留や後継牛の確保を行うことから、経産牛と未経産牛が減少し、242万4000頭(同3.7%減)とわずかな減少が見込まれている。

また、同年度の輸出向け牛肉生産量(牛肉生産量の95%程度)は、引き続き雌牛を中心に減少することで、60万7000トン(同1.8%減)と見込まれている。

牛肉輸出量、生産量の減少により減

ニュージーランド統計局によると、2016/17年度の3月までの牛肉輸出量は、牛肉生産量の減少に伴い18万7072トン(前年同期比10.2%減)とかなり減少した(表1)。

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主な輸出先国別にみると、全輸出量の4割程度を占める米国向けは、米国内の牛肉生産量の回復に伴い8万1877トン(同17.2%減)と大幅に減少した。全体の約2割を占める中国向けは、3万9131トン(同0.3%増)とわずかに増加した。ニュージーランドから中国向けの冷蔵牛肉の試験的輸出が2017年に開始されており、今後の冷蔵牛肉輸出の増加が期待されている。その他では、日本向けが大幅に増加している以外は、おおむね減少している。

なお、BLNZは「Mid-Season Update 2016-17」の中で、同年度の牛肉輸出量を、牛肉生産量の減少と米国の牛肉生産量の増加などに伴い、41万6000トン(前年度比1.8%減)と見込んでいる。

(調査情報部 大塚 健太郎)


				

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