需給動向 海外 |
◆米 国◆
フィードロット飼養頭数は2013年以来の高水準
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2017年5月26日に公表した「Cattle on Feed」によると、4月のフィードロット導入頭数は、前年同月比11.1%増の184万8000頭となった。また、1〜4月の導入頭数は764万頭となり、2004年以降で最多となった(図1)。この要因として、フィードロットの収益性が良好なことが挙げられる。関係者によると、4月の去勢牛出荷におけるフィードロットの収益は、1975年以降で最も高いとの見方もある。
導入頭数を重量別に見ると、特に700〜799ポンド(318〜362キログラム)のカテゴリーが、前年同月比25.6%増の49万頭と大幅に増加しており、これらの牛が出荷される9〜12月ごろにかけて、肥育牛の供給頭数の増加が見込まれている。
また、同月のフィードロットの出荷頭数は、同2.7%増の170万3000頭となった。関係者によると、4月は出荷先であると畜場の稼働日が前年より1日少なかったことから、1日当たりでは同7.7%増となり、国内外からの高い牛肉需要を背景に、食肉パッカーによる肥育牛の購入意欲が強いとみられている。
これらの結果、5月1日時点のフィードロット飼養頭数は、同2.0%増の1099万8000頭となり、2013年3月以降で最多となった(図2)。
USDA/NASSが2017年5月25日に公表した「Livestock Slaughter」によると、4月の牛と畜頭数は、前年同月比2.2%増の246万3000頭となった。1頭当たりの平均枝肉重量は、食肉パッカーからの需要の増加に伴い肥育期間が短くなっていることに加え、去勢牛よりも比較的体重が軽い未経産牛や繁殖雌牛のと畜頭数が増加していることから、同2.2%減の363キログラムとなった(図3)。
これらの結果、同月の生産量は、同0.1%減の89万トンとなった。また、1〜4月の生産量は、と畜頭数の増加により、前年同期比4.6%増の374万8000トンとなった。
2017年の生産量についてUSDAは、今後も枝肉重量が前年を下回る見込みであることから、前月の予測値を8万6000トン下方修正し、前年比4.3%増の1193万4000トンと見込んでいる。
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2017年5月の肥育牛価格(速報値)は、前年同月比7.2%高の100ポンド当たり139.25米ドル(1キログラム当たり349円:1米ドル=112円)と食肉パッカーからの需要の高まりに伴い、2カ月連続で前年同月を上回った(図4)。
同月の牛肉卸売価格(速報値)は、国内外からの需要により、同11.8%高の242.50米ドル(同599円)となった。
(調査情報部 渡邊 陽介)