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生乳生産は減少が続くも、酪農家の景況感は改善
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2017年4月の生乳生産量は、62万600キロリットル(63万9200トン相当、前年同月比6.3%減)と前年同月をかなりの程度下回った。2016年3月以降、14カ月連続で、前年同月を下回る生産となっている(図24)。
地域別に見ると、酪農主産地のビクトリア州(同7.1%減)の中でも、夏以降の少雨による牧草生育環境の影響を引きずっている北部では、同15.1%減とかなり大きな減少が続いている。
こうした中、現地報道によると、生産者乳価が安い一方で肥育もと牛相場が好調なことから、酪農家の中には、生後1週間程度でと畜していた雄子牛を12週間程度飼育し、肉牛肥育農家向けに家畜市場で販売して収入源の一部とする者が出てきている。
なお、豪州気象局の発表によると、ビクトリア州を含む南東部では、6〜8月にかけて高温少雨傾向となる見通しで、今後の牧草生育などへの影響が懸念されている。
DAが発表した、2017年3月の乳製品の主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった(表10、図25)。
主要4品目のうち、脱脂粉乳は、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ向けが、安価なEU産への切り替えにより、全粉乳は、主要な輸出先である中国向けがニュージーランド(NZ)産への切り替えにより、また、バターは、主要な輸出先である香港、中国向けがNZ産への切り替えにより、それぞれ減少し、いずれも前年同月を大幅に下回った。
一方、チーズは、日本向けについてはNZ産からの切り替えなどにより、また、中国や韓国向けについては、需要の高まりを受け、いずれも増加したため、前年同月を大幅に上回った。
豪州の主要銀行であるコモンウェルス銀行は5月16日、農家の経営動向や投資意欲について年2回実施している調査の結果を公表した。これによると、全体的に投資意欲が高まっており、雇用の増加や、生産性向上のための技術導入に積極的に取り組みたいとの回答が増加したとしている。特に、酪農部門では、規模拡大を計画していると回答した者の割合は12%(前回調査1%、前年調査11%)と増加しており、乳製品の国際市況の回復に伴う酪農家の生産意欲の高まりがうかがえる調査結果となった。
(調査情報部 竹谷 亮佑)